キッチンのリフォームは、費用が数十万〜百万円を超えることもある大きな買い物です。しかし、国や自治体の補助金制度を上手に活用すれば、費用負担を大きく減らすことができます。
この記事では、キッチンリフォーム時に活用できる国・自治体の補助金を紹介します。申請時の注意点も解説しますので、リフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
なお、補助金の内容や募集の有無は、年度によって変更される可能性があります。応募する際は、必ず各公式サイトにて最新情報を確認するようにしてください。
キッチンリフォームに活用可能な国の補助金制度

国では、住宅をリフォームする際に活用できる補助金を設けています。省エネや子育て・バリアフリーなどを目的としたリフォームが対象ですが、工事内容によってはキッチンリフォームも該当する可能性があります。
キッチンリフォームに活用できる可能性がある補助金を紹介します。
子育てグリーン住宅支援事業
「子育てグリーン住宅支援事業」は、住宅の省エネ化や子育て支援を目的とした補助金です。新築とリフォームが対象となり、それぞれ条件等が異なります。
リフォームに関する条件は次の通りです。
| 補助対象 | 戸建・共同(集合)住宅で、「対象工事」に記載の省エネ改修や子育て対応改修等を行うリフォーム工事 |
|---|---|
| 対象工事 | 【必須工事】 1.開口部の断熱改修 2.躯体の断熱改修 3.エコ住宅設備の設置 【任意工事】 4.子育て対応改修 5.防災性向上改修 6.バリアフリー改修 7.空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 8.リフォーム瑕疵保険等への加入 |
| 補助金額(上限) | 必須工事を3つとも実施:60万円 必須工事の内2つを実施:40万円 |
※参考:国土交通省 環境省「子育てグリーン住宅支援事業」
必須工事に該当するリフォーム工事のうち、2つ以上を実施した場合に補助金を受け取れます。キッチンの交換のみなど、リフォーム内容によっては補助金の対象外となる可能性があるため、詳しくはリフォーム会社にも確認しておくと良いでしょう。
また、補助金を受けるには工事前に申請しておく必要があるため、申請書類等は早めに準備しておくことが大切です。
なお、2025年現在、交付申請の予約は終了しています。ただし、2026年以降も同様の補助金制度が実施される可能性があるため、最新情報をチェックしておきましょう。
介護保険による住宅改修費支援
要介護認定を受けている人が住む住居の場合、バリアフリーを目的としたリフォームであれば介護保険による補助金制度が活用できる可能性があります。介護保険による住宅改修費支援を設置しているのは国(厚生労働省)ですが、実際の補助金は市町村の自治体が補助します。
補助金の条件は次の通りです。
| 補助対象 | 要介護認定を受けている人 介護保険被保険者証に記載のある住所の建物 |
|---|---|
| 対象工事 | バリアフリー化工事 手すりの設置 段差の解消 滑りにくい床材への変更 引き戸への変更 |
| 補助金額(上限) | 工事費用20万円まで |
※厚生労働省「福祉用具・住宅改修に関する法令上の規程について」
例えば、 キッチンリフォームでは次のような場合に補助金を受けられる可能性があります。
- 調理中の立ち座りを支援するための手すりを設置した
- キッチン周辺の段差をなくした
- 車椅子対応の低めカウンターへ変更した
具体的な補助金額と自己負担額の例は、次の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、既存住宅の長寿命化や省エネ化を目的に、性能向上リフォームや子育て世帯向け改修を支援する制度です。
| 補助対象 | リフォームを行う住宅 |
|---|---|
| 対象工事 | 特定性能向上リフォーム工事 その他性能向上リフォーム工事 |
| 補助金額(上限) | 評価基準型・提案型:80万円 認定長期優良住宅型:160万円 |
※国土交通省「令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業」
耐震性の向上や省エネルギー対策を目的としたリフォーム工事や、バリアフリー工事、環境負荷の低い設備への改修工事などが対象となります。補助金を受けるには、リフォーム工事着手前にインスペクション(現況調査)を受ける必要があります。
「維持保全計画とリフォーム工事の履歴」の作成が必要など補助要件が複雑ですが、手続きは主に施工業者が行うことになっているため、個人で申請する必要はありません。活用の可否を含めて、リフォーム会社に相談しましょう。
補助金を受けるには、前提として「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の事業者登録が完了している業者との契約であることが必要です。登録がない事業者に依頼した場合、補助対象とはならないため注意しましょう。登録の有無は「登録事業者情報の公表」で確認できます。
給湯省エネ2025事業
「給湯省エネ2025事業」は、経済産業省が実施する、省エネ給湯器の導入支援制度です。キッチンリフォームとあわせて給湯器を交換する交換する場合に、対象となる可能性があります。
| 補助対象 | 高効率給湯器の導入 |
|---|---|
| 対象機器と1台あたりの補助金額(上限) | ヒートポンプ給湯器(エコキュート):6万円 電気ヒート・ポンプガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器):8万円 家庭用燃料電池(エネファーム):16万円 ※各加算要件あり |
※経済産業省「給湯省エネ事業」
補助金の申請手続き等は施工事業者側で行います。「給湯省エネ事業者」でないと申請できないため、活用を検討している際は必ず「給湯省エネ事業者の検索」で登録事業者かどうか確認しましょう。
キッチンリフォームに使える自治体の補助金制度

自治体で独自に補助金制度を設けている場合もあります。キッチンリフォームを対象としている補助金の例をご紹介します。
| 自治体 | 制度名 | 概要 | 公式サイト |
|---|---|---|---|
| 川口市(埼玉県) | 川口市住宅リフォーム補助金 | 個人住宅のリフォーム工事費用を助成 20万円以上のリフォーム工事を行う場合、工事費用の5%を助成(最大10万円) | 川口市公式サイト |
| 渋谷区(東京都) | 住宅簡易改修支援事業 | 渋谷区協定事業者によるリフォーム工事費用を助成 工事費用の20%を助成(最大10万円) | 渋谷区公式サイト |
住宅リフォームに関する補助金として設けているケースが多く、キッチンリフォームが対象となるかは自治体により異なります。また、募集の可否や条件等が変わる可能性もあるため、必ず公式サイト等で最新情報を確認してください。
キッチンリフォームで補助金を活用する際の注意点

キッチンリフォームで補助金を活用する際に、おさえておきたい注意点を解説します。
工事着手前に申請する必要がある
基本的に、キッチンリフォームで補助金制度を活用する場合は、工事契約や着工前の申請・交付決定が必要です。着工後の申請は認められず、補助対象外になるケースが多いため、必ずリフォーム前に補助金について調べておきましょう。
また、申請から補助金の交付可否の決定まで数ヶ月かかるケースもあります。リフォーム工事のスケジュールを踏まえ、例えば見積もり時点で申請準備を始めるなど、早めの準備が大切です。
キッチン単体工事は対象外の場合も
多くの補助金制度は、単なるキッチン交換ではなく「住宅の性能を高める改修」が対象となります。そのため、基本的に補助金を受け取れるのは、エコキュートや節湯水栓などの省エネ機器を導入する場合や、バリアフリー改修を同時に行う場合です。キッチンの設備だけを新しくするリフォームは対象外となる可能性もあるため、注意しましょう。
どこまでが補助対象になるのかは制度によって異なります。リフォームの見積もり段階で業者に相談し、適用できる制度を確認しておくことが大切です。
制度の併用制限を確認
補助金制度によっては、同一工事で複数制度の補助を受けることが禁止されています。例えば、経済産業省の「給湯省エネ事業」などでは、同一年度内に他制度との併用ができません。また、自治体補助金でも「国の補助金制度との重複不可」と明記されている場合があります。
複数制度を活用する場合は、対象を工事単位で分けて申請するか、どの制度を優先するかを事前に整理しておくことが大切です。 どの補助金を活用するのが良いかは、キッチンリフォームの施工会社に相談するとよいでしょう。
登録事業者による施工が条件
キッチンリフォームに限らず、補助金制度の多くは、該当事業の登録事業者による施工・登録製品の使用が必須条件です。登録外の業者が施工した場合、たとえ要件を満たしても補助金が受け取れません。
補助金の公式サイトで登録業者一覧が公開されているため、依頼前に必ず確認しておきましょう。また、手続きに不安がある場合は補助金対応に慣れた業者を選ぶと安心です。補助金の申請を代行してもらえる場合もあります。
まとめ
キッチンリフォームの補助金は、制度の条件を理解し計画的に準備することで、負担を大きく軽減できます。国の制度では省エネや子育て支援を目的としたものが中心で、自治体では地域密着型の支援が充実しています。
いずれの制度も工事着手前の申請が必須であり、登録事業者による施工や併用制限などの細かな要件を確認することが重要です。補助金を上手に活用して、理想のキッチンリフォームを進めていきましょう。

