キッチンや洗面所、お風呂場の蛇口から水がポタポタと漏れる主な原因は、内部にあるパッキンの劣化です。パッキンはゴムや樹脂でできた消耗品のため、経年劣化による水漏れは避けられません。
水道業者に依頼すればすぐに直りますが、実は自分での交換が可能なケースも多くあります。
本記事では、パッキンが原因の水漏れの特定方法、必要な道具とパッキンの種類、そして自分でできる交換手順を詳しく解説します。
水道のパッキンを交換する前に確認すること

水漏れ修理を始める前に、まず蛇口のタイプと、水漏れが起きている正確な箇所を確認しましょう。
蛇口タイプを確認する
一口に「蛇口」といっても、その種類によって構造や水漏れの原因、必要な修理方法が異なります。DIYでパッキン交換ができるのは、主に単水栓と2ハンドル混合栓です。
| 蛇口の種類 | 特徴 | 主な水漏れ原因 | DIY交換できる可能性 |
|---|---|---|---|
| 単水栓2ハンドル混合栓 | 水(またはお湯)専用のハンドルが1つ、または水・お湯のハンドルが2つある蛇口 | パッキン(ケレップ、三角パッキンなど)の劣化 | 高い |
| シングルレバー混合栓 | 1本のレバーで水温と水量を調節する蛇口 | 内部のバルブカートリッジの劣化・故障 | 低い |
水漏れが単水栓や2ハンドル混合栓から起きている場合、パッキン交換で解決できる可能性が高いでしょう。交換方法は、後述の「【単水栓・2ハンドル向け】パッキン交換の手順」で解説します。
シングルレバー混合栓の方は、水漏れの原因はほぼバルブカートリッジの故障ですので、「水道のパッキン交換を業者に依頼した方が良いケース」をご覧ください。
水栓・蛇口の種類については、次の記事で詳しく解説しています。自宅の蛇口タイプを確認する際にご活用ください。

水漏れ箇所と原因を確認する
ここでは、単水栓・2ハンドル混合栓に限定して、水漏れの原因特定方法を解説します。
原因を特定せずに分解してしまうと、交換しても水漏れが直らないばかりか、誤った部品を動かしてしまい、かえって状況を悪化させてしまう可能性があります。
もしパッキン以外の原因が疑われる場合は、無理に自力で対処せず、専門の水道業者に相談するのが安全です。
水漏れ箇所別の主な原因は次の通りです。
| 水漏れ箇所 | 考えられる原因 | 自分で交換できる可能性 |
|---|---|---|
| 1.蛇口の先端(吐水口) | ケレップ(コマパッキン)の劣化・破損 | 高い |
| 2.ハンドルやレバーの隙間 | 三角パッキンの劣化・緩み | 高い |
| 3.蛇口の根本(パイプの接続部) | Uパッキンの劣化・摩耗 | 高い |
| 4.蛇口の本体と壁の接続部 | シールテープやOリングの劣化 | 中(専門的な工具が必要な場合あり) |
まずは1〜3の箇所を確認しましょう。1〜3の症状は、ホームセンターで数百円のパッキンを購入し、自分で交換することで解決できる可能性が高いケースです。
一方で、パッキン以外の主要部品の故障が疑われる場合や、水漏れ箇所が特定できない場合は、無理せずプロの業者に相談するのが安心です。
【単水栓・2ハンドル向け】パッキン交換の手順

パッキン交換の基本は、「分解して、古いパッキンを取り除き、新しいパッキンに入れ替えて、元に戻す」という流れです。具体的な手順を解説します。
準備:パッキンの交換に必要な道具
作業を始める前に、次の道具を準備しましょう。
- モンキーレンチ
- マイナスドライバー
- 新しいパッキン
- 雑巾
【重要】作業前に水道の元栓を締める
作業を始める直前に、必ず水道の元栓を閉めましょう。元栓を閉めずに作業を始めると、蛇口を分解した瞬間に水が噴き出してくる恐れがあります。
元栓を閉めた後、念のため蛇口をひねって水が出ないことを確認してから作業に入ってください。
水道の元栓の場所と閉め方は、次の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

蛇口先端の水漏れ対策:ケレップ(コマパッキン)の交換手順
蛇口先端部分からの水漏れは、内部にあるケレップ(コマパッキン)の劣化が原因です。次の手順で交換しましょう。
1.ハンドルを分解する
ハンドルのキャップやビスを外し、ハンドルを取り外します。
2.部品を緩める
モンキーレンチで、ハンドル下にあるグランドナットやスピンドルを緩めて取り出します。
3.ケレップを交換する
取り出したスピンドルの先端にある古いケレップ(コマパッキン)を取り外し、新しいものに付け替えます。
4.元に戻す
取り外した部品を元の順番どおりに戻し、モンキーレンチでしっかりと締めます。
ハンドル周りの水漏れ対策:三角パッキンの交換手順
ハンドル下や軸の隙間からの水漏れは、三角パッキンの劣化が原因です。次の手順で交換しましょう。
1.ハンドルを分解する
ハンドルのキャップやビスを外し、ハンドルを取り外します。
2.ナットを緩める
三角パッキンが収まっているグランドナットをモンキーレンチで緩めます。
3.パッキンを交換する
古い三角パッキンを取り外し、同じサイズの新しいパッキンに交換します。
4.元に戻す
グランドナットをしっかりと締めてから、ハンドルを元に戻します。
パイプ付け根の水漏れ対策:Uパッキンの交換手順
蛇口の首の部分(パイプ)を回すたびに水が漏れる場合は、内部のUパッキンの劣化が原因です。次の手順で交換しましょう。
1.パイプを外す
パイプの根元にあるパイプナットをモンキーレンチで緩めて、蛇口本体からパイプを引き抜きます。
2.Uパッキンを交換する
パイプの付け根にある古いUパッキンを取り外し、新しいものに交換します。この際、パッキンに水道用のグリスを塗ると滑りが良くなり、長持ちします。使用するグリスは、食器用か水回り用をご使用ください。
3.元に戻す
パイプナットを締め直します。締めすぎるとパイプが固くなってしまうため、水が漏れない程度に適切な力で締めます。
水道のパッキン交換を業者に依頼した方が良いケース

次のケースに該当する場合は、DIYでの交換は避けてプロの水道業者に依頼しましょう。
シングルレバー混合栓の水漏れ
シングルレバー混合栓の場合、水漏れの原因はパッキンではなく内部の「バルブカートリッジ」の劣化が大半です。
カートリッジの交換には専用工具やメーカーごとの専門知識が必要となります。部品代も比較的高価なため、無理に自分で交換しようとせず、プロに依頼するのが確実です。
ナットが固着して回らない場合場合
長年使用している蛇口は、部品がサビついて固着していることがあります。無理に回そうとすると蛇口本体や配管を破損させてしまいます。
水漏れの原因が特定できない場合
水漏れが多発する場合や原因が特定できない場合は、業者へ相談した方がよいでしょう。対処が遅れると家屋全体に大きな被害を及ぼす可能性もあります。
壁の中など、見えない箇所で発生したトラブルが原因となっていたり、蛇口本体が寿命を迎えていることが原因だったりする場合もあります。原因を正確に特定し適切な対処をしてもらうためにも、専門業者に依頼するのが安心です。
まとめ
水道の蛇口から水がポタポタ漏れる原因の多くは、単水栓・2ハンドル混合栓においてはパッキン(ケレップ、三角パッキン、Uパッキン)の劣化によるものです。
ホームセンターなどで新しいパッキンとモンキーレンチなどの道具を用意すれば、自分で交換できます。作業前に必ず水道の元栓を締めることを忘れないようにしましょう。
一方で、シングルレバー混合栓の水漏れは部品交換の難易度が高いので、無理をせずプロに依頼した方が安心です。部品の固着や水漏れ箇所が特定できないなど、パッキン以外の原因が疑われる場合も、専門業者に相談することをおすすめします。

