トイレのタンク上に置くだけで洗浄や消臭ができる「ブルーレット」などの置くタイプの洗浄剤は、簡単に清潔面を保てると人気のアイテムです。しかし、「タンク内に置くタイプは故障の原因になる可能性があるため、使用しない方がよい」といった声もあるため、使用に不安がある方も多いのではないでしょうか。
メーカーは「正しく使えば問題ない」としていますが、水質や設置環境によってはトラブルにつながるケースも報告されています。
本記事では、ブルーレットの故障リスクに関する見解や注意点、安全に使うための方法を解説します。
ブルーレットなど「置くタイプ」の洗浄剤に対するメーカーの見解

置くタイプの洗浄剤を製造・販売するメーカーは、製品が正しく使われる限り、トイレの器具に悪影響はないとしています。
小林製薬の公式サイトでは、製品がトイレに与える影響について、次のように回答しています。
Q.ブルーレットがタンク内の器具を傷めたり、劣化させたりしませんか?
A.対象製品:タンクの上に置くブルーレット/タンクに入れるブルーレット
トイレの配管やタンクの器具への影響について、試験を実施しており、使用方法通りにご使用いただければ、影響がないことを確認しています。
※引用元:小林製薬
Q.タンクの中にカビが生えています。ブルーレットを使うとカビが生えやすくなるのですか?
A.対象製品:タンクの上に置くブルーレット/タンクの中に入れるブルーレット
トイレのタンクの中は湿度が高く、カビが生えやすい環境にあります。
試験の結果、使用方法通りにご使用いただければタンク内の環境に影響を与えないことを確認しています。
トイレタンクから採取した代表カビ1種類とブルーレットを一緒にして培養した場合と、当該のカビと水道水を一緒に培養した場合とで比較しましたが、結果は同等で、ブルーレットがカビを生えやすくすることはないことを確認しています。
※引用元:小林製薬
メーカーは、洗浄剤の成分がタンク内の部品に影響を与えないよう十分に配慮していることを、根拠とともに示しています。製品の使用方法(特に設置位置やタンクの種類)を正しく守れば、問題なく使用できるというのがメーカーの見解です。
ブルーレットによる「トイレの故障リスク」が指摘される理由

メーカーは「使用方法どおりに正しく使えば問題ない」としていますが、一部の水道業者がリスクを指摘するのは、使用環境や設置ミス、経年劣化など、メーカーの想定外の要因が起こりやすいためです。
ここでは、正しく使えていない場合に起こり得るトラブルを解説します。
ゴムやパッキンの劣化・損傷(設置ミスや水質によるリスク)
トイレのタンク内にあるゴムフロート、ボールタップ、止水パッキンなどの部品は、常に水に浸かっています。
ブルーレットの洗浄成分自体は安全でも、設置場所がずれたり溶け出した成分の濃度が高すぎたりすると、ゴムやパッキンの劣化が早まる恐れがあります。
特に水質や経年劣化の影響を受けやすい古いトイレでは、リスクを考慮し使用を控えるよう推奨される場合もあるようです。
洗剤の固着・詰まり(水流や温度変化によるリスク)
置くタイプの洗剤は固形です。溶け残りや凝固した成分が給水弁(ボールタップ)や排水口の隙間に付着し、動作不良や詰まりを招く恐れがあります。
特に、水温が低い・水流が弱いなど、メーカーの想定と異なる環境では発生しやすく、結果的に水が止まらない「チョロチョロ水漏れ」につながる場合もあるため注意が必要です。
修理時に保証対象外になる可能性がある
メーカーは影響がないとしていますが、万が一トイレが故障した際、水道業者が「タンク内の洗剤が原因」と判断した場合、メーカー保証や業者の保証対象外となり、修理費用が全額自己負担となる可能性があります。
これは、部品のわずかな変形など、専門家でなければ判断できない部分が原因とされる場合があるためです。
タンクの故障リスクが低い代替アイテムは?

メーカーは影響はないとしていますが、万全を期してタンク内の故障リスクを回避したい場合は、部品への付着リスクが低いタイプやタンクを通らないタイプの洗浄剤を選ぶことをおすすめします。
タンクに吊り下げる「液体タイプ」
固形タイプに比べ、液体タイプは成分が水に均一に混ざりやすく、部品への付着リスクが低いとされています。ただし、完全に影響がないわけではないため、使用する際は「タンク内部品に影響を与えない」と明記された製品をを選びましょう。
使用のたびに洗浄成分が溶け出す「スタンプタイプ」
安全性が高いのは、トイレのタンクを経由せず、便器内の水たまり(封水)に直接触れるタイプの洗浄剤です。便器のフチにジェル状の洗剤をスタンプするタイプなどがこれにあたります。
このタイプは、洗浄成分がタンク内の部品に触れないため、タンク内部品の故障リスクを回避できます。
ブルーレット以外でトイレを清潔に保つ方法

置くタイプの洗剤を使わなくても、トイレを清潔で快適に保つ方法はほかにもあります。
対策1.スプレーによる日常的な「サッと拭き掃除」
ニオイの原因となる汚れの多くは、尿の飛び散りやホコリによるものです。
便器のフチ裏や便座、床をトイレ用の泡スプレーや除菌シートで毎日サッと拭くだけでも、汚れの蓄積を防ぎ、清潔な状態を保てます。
対策2.定期的なブラシ掃除(週に1~2回)
黄ばみや黒ずみの原因となるカビや尿石の除去には、ブラシを使った掃除が欠かせません。週に1~2回を目安に、中性または酸性のトイレ用洗剤で便器の内側を擦りましょう。
特に汚れが溜まりやすいフチ裏は、専用ブラシで丁寧に磨くことでより清潔を保てます。
対策3 空間の消臭には「消臭剤・芳香剤」を活用する
消臭効果だけを求める場合は、タンク式の洗浄剤に頼らず、空間用の消臭剤や芳香剤を活用しましょう。タンク内の部品には影響を与えず、ニオイ対策も行えます。
まとめ
ブルーレットなどに代表される「置くタイプ」の洗浄剤について、メーカーは「使用方法を守れば、タンク内の器具や浄化槽に悪影響はない」との見解を示しています。そのため、使用する際は、使用上の注意を厳守するようにしましょう。
一方で、水質や経年劣化、設置ミスなどの要因によっては、洗剤成分が部品に付着したり、ゴム製部品の劣化を早めたりする可能性も指摘されています。特に古いトイレでは、こうしたリスクが高まる傾向にあります。
タンク内部の故障リスクを避けたい場合は、タンクを経由しない「スタンプタイプ」や、空間用の消臭剤・芳香剤を活用するのがおすすめです。置くタイプを使う場合でも、設置場所を正しく守り、水漏れや動作不良がないか定期的に確認しておくと安心です。

