トイレの水位が下がると、排水の勢いが弱まり、流れが悪くなることがあります。汚れが残ったり、つまりが起こりやすくなるため、早めの対処が必要です。
本記事では、トイレの水位が低い原因や家庭でできる対処法、業者に依頼すべきケースを詳しく解説します。


まずは状況を確認しよう

トイレの水位が低いと感じたときは、まず状況を見極めることが重要です。正しい対処には、現状の把握が欠かせません。
一時的な症状かどうか
水位の低下が一時的な現象であれば、特別な処置を行わなくても自然に回復する場合があります。たとえば、長期間使用していなかったことによる封水の蒸発や、気温の変化に伴う水の収縮などが原因のときは、時間の経過とともに水位が戻ることもあります。
また、近隣での大規模な配管工事や、他の排水設備の影響で一時的にトイレの水位が変化することもあります。このような状況では、しばらく様子を見ることが適切です。
使用を再開しても水位が安定しない、異臭がする、異音が続くといった症状があれば、構造的な問題や通気不良の可能性があるため、早めに専門業者へ相談しましょう。
異物を落としたか
異物が排水経路を塞ぐと、水位の低下を引き起こします。小物や掃除用具、子どものおもちゃなどがトイレに落ちていないか、思い返してください。特に掃除中は、ブラシの部品や洗剤のキャップが知らぬ間に落下することがあります。
異物によって水の流れが妨げられると、水位の低下だけでなく異音や逆流を伴う場合もあります。何度も水位が不安定になる、異音がする、臭いが発生する場合は、排水管の奥で詰まっている可能性が高いため、無理に対処せず専門業者に相談しましょう。
トイレの水位が低くなると起きること

水位の低下は、単なる見た目の問題ではありません。次のような症状も起きます。
下水の臭いが上がってくる
水が減ると、排水管と室内の間に空気の通り道ができ、悪臭が立ちのぼります。特に長期間使用していないときや、配管の通気に問題がある場合に起こりやすくなります。
放置すると生活環境への悪影響が大きいため、早めの対応が必要です。
排水が不安定になる
便器内の水位が適正でないと、排水時の水流が乱れます。水の流れが弱まると、汚物や紙が残りやすくなり、詰まりの原因となります。
また、水を流した直後に水位が極端に減る場合は、排水管内の圧力バランスが崩れている可能性もあります。これにより、繰り返し詰まりや異音が生じることがあり、結果的に大がかりな修理が必要になる場合もあります。
トイレの水位が低くなる主な原因

トイレの水位が下がる原因は、部品の劣化、配管の詰まり、設計上の問題などさまざまです。それぞれの原因によって、必要な対処法も異なります。
まずは主な原因と確認の手がかりを把握しておきましょう。
ボールタップやフロートバルブの不具合

トイレタンク内の部品が劣化すると、水位の低下につながります。特に、給水を調整するボールタップや、水を流す役割のフロートバルブ(ゴム製の弁)が故障すると、タンクに水が溜まりません。
これらの部品は10年程度で寿命を迎えることが多く、交換や調整によって改善できる場合があります。タンク内の水量が少ないと感じたら、まずは内部部品の不具合を疑いましょう。
封水切れ
長期間トイレを使用しないと、封水が蒸発し、水位が下がるケースがあります。また、排水時に空気の流れが乱れると、水が吸い出されることがあり、これも封水が切れる原因の1つです。
封水がなくなると、便器から下水臭が上がります。バケツで水を流すなどの簡単な方法で一時的に解消しますが、繰り返す場合は排水管の通気不良や構造の問題が考えられます。その際は、専門業者による点検を検討しましょう。
排水管の詰まり
排水管が詰まっていると、水の流れが悪くなり、便器内の水位も不安定になります。原因として多いのは、トイレットペーパーや異物の詰まり、尿石などの蓄積です。
排水性能が落ちると、流した際に「ゴボゴボ」という異音がしたり、水が一時的に減って戻らなかったりします。
軽度の詰まりであれば、ラバーカップ(スッポン)を使って解消できることがあります。しかし、同じ症状が何度も起こる場合は、排水管の内部に汚れが残っている可能性があるため、専門業者に高圧洗浄を依頼するのが安心です。
便器のひび・破損
便器のひび割れや破損による水漏れも水位低下の一因です。封水が徐々に床下に漏れ出してしまい、水位が保てなくなります。
床が湿っている、便器周辺に水たまりができているなどの症状がある場合は、便器のひび割れを疑い、早めに業者へ点検を依頼しましょう。
破損しているときは、便器ごと交換が必要になることもあります。
節水設定
節水型トイレは、水を効率よく使うよう設計されており、水位がやや低めになることがあります。また、DIYでボールタップを調整した結果、水量が必要以上に少なくなっている場合もあります。
流れに問題がなく、ニオイやつまりがなければ、必ずしも異常とは言えません。使用に支障がない範囲であれば、そのままでも問題ありませんが、不安がある場合は、メーカーが推奨する水位に合わせて再調整することで、安心して使い続けられます。
無理な節水は、結果的に排水トラブルを招く恐れがあるため注意が必要です。
排水管の通気不良
排水管内は常に満水ではなく、水は管の底を流れ、上部には空気が通る構造です。そのため、空気を逃がす通気管がない、または詰まっていると、排水時に空気の流れが妨げられます。
このような状態では、配管内の圧力が変化し、便器内の封水が引き込まれて水位が下がることがあります。具体的には、水を流した直後に水面が減る、ゴボゴボという異音がするなどの症状が現れます。
通気不良は、排水設備の設計や施工に関わる問題であり、一般の方が自力で修理するのは難しいものです。異常が疑われる場合は、早めに専門業者に点検と改善を依頼しましょう。


トイレの水位が低いときの対処方法

トイレの水位が下がった場合、自分で確認・対処できる方法があります。ここでは、工具を使わずに試せる手軽な方法から、部品の調整や清掃といった実践的な対策まで段階的に紹介します。
バケツで水を流す
水位の低下が一時的なものや、軽度な詰まりによるものであれば、バケツで水を一気に流すことで封水を補充し、改善できることがあります。
まずバケツに水をため、便器の排水口に向かって一気に流し込みましょう。その後、水位が通常どおりに戻るか、流れがスムーズになるかを確認してください。
水の量は便器の半分以下を目安にし、溢れないように注意しましょう。この方法は、封水の蒸発やサイフォン現象による水位低下に有効です。
排水口の掃除をする
排水口に尿石や汚れが溜まっていると、水の流れが悪くなり、水位が下がることがあります。
まず、尿石除去剤を排水口に塗布し、30分~1時間放置します。その後、トイレ用ブラシや使い古しの歯ブラシで、フチ裏や排水口を丁寧にこすりましょう。
軽度の汚れであれば、クエン酸でも代用可能です。掃除により水の流れが改善され、水位が安定することもあります。定期的な清掃で、再発も防げます。
ラバーカップなどで排水管の詰まりを解消する
詰まりが原因で水位が低下している場合は、ラバーカップ(スッポン)を使って解消を試みましょう。
まず、ラバーカップのゴム部分を排水口にしっかり密着させます。次に、何度か強く押し引きすることで圧力をかけ、詰まりを取り除きます。このとき、水が飛び散らないように注意しながら作業してください。
軽度の詰まりであれば、これだけで水位が正常に戻ることがあります。それでも改善しない場合は、より深部に異物が詰まっている可能性があるため、専門業者に相談しましょう。
タンクの水位を調整する
タンク式トイレでは、タンク内の水位が低いと便器に十分な水が流れず、便器の水位も低くなります。以下の手順でタンク内の水位を確認しましょう。
- 止水栓を閉める
- タンクのフタを外す
- 中央にあるオーバーフロー管を確認する
オーバーフロー管は、タンク中央にある立て管で、水があふれないようにする役割があります。水位はこの管の上端から約2〜3cm下が適正です。「WL(ウォーターライン)」と呼ばれる水位の目安が表示されており、その線に合わせることで適切な水量を維持できます。
水位が基準より低い場合は、ボールタップの高さを調整して、水が十分たまるようにしましょう。最後にフタを戻し、止水栓を開けて水を流し、便器の水位が正常に戻ったかを確認します。
ボールタップやフロートバルブを調整・交換する
トイレの水位が安定しない原因の1つに、部品の劣化があります。特に、タンク内のボールタップやフロートバルブが故障すると、水が十分にたまらず、水位が下がります。
ボールタップはタンク上部にあり、調整ネジを反時計回りに回すと水位が上がります。調整できない場合は交換が必要です。
交換時は、止水栓を閉めてタンクの水を抜き、古い部品を外して新品を取り付けます。作業後は止水栓を開け、水漏れと動作を確認してください。
フロートバルブも同様に交換可能で、寿命は10〜15年が目安です。交換時は必ず同型の部品を使用しましょう。
トイレの設定を見直す
節水型やタンクレストイレでは、本体の設定によって水位が下がることがあります。まず、メーカーが推奨する水量を確認し、タンク内のボールタップを調整して水位を適正に保ちましょう。
タンクレストイレの場合は、コントロールパネルでエラー表示の有無や水量設定を確認します。エラーコードが出ている場合は、マニュアルに従ってリセットを行います。
この症状が出たら業者に相談しよう

以下のようなケースでは、内部のパーツや排水管にトラブルがある可能性が高く、自力での修理が難しくなります。
- タンク内の調整をしても水位が安定しない
- 便器に水がたまらず、臭いが強くなる
- 排水後の水の渦や流れがおかしい
- 配管から異音や逆流が起こる
これらの症状は、便器の破損や排水管の深部詰まり、電子制御部の不具合などが原因であることが多く、専門的な修理が必要です。
無理に自己修理を行うと、かえって状況を悪化させる恐れがあるため注意しましょう。
水位の低下は早めの判断と対処が大切
トイレの水位が低くなる現象は、軽微な異常から深刻な不具合まで、幅広い原因が隠れています。そのまま放置すれば、悪臭や排水トラブルにつながる恐れがあります。
一時的な現象や軽度のつまりであれば、自分で対応できる場合もあります。しかし、水位が戻らない、臭いが強くなる、流れ方がおかしいといった症状があるときは、配管や部品の不具合が進行している可能性が高くなります。
原因が特定できない、または改善しない場合は、無理に触らず、早めに専門業者に相談することが重要です。適切な処置によって、トイレの機能と快適さを確実に保つことができます。

