トイレの水は排水管へと流れていきますが、実はその排水方式には「床排水」と「壁排水」の2種類あります。
各メーカーからさまざまなトイレが販売されていますが、購入する際は必ずこの排水方式を確認しましょう。床排水には床排水用の、壁排水には壁排水用のトイレしか設置できないためです。
本記事では床排水の仕組みや壁排水との見分け方、床排水のトイレ選びに欠かせない排水芯について解説します。
トイレの床排水とは
トイレの排水方式には、床排水と壁排水があります。
床排水とは、排水管が床に接続されているタイプの排水方式で、流した水は便器の真下にある排水管から排水されます。配管が床下に隠れているため、外から排水管が見えることはありません。一般的な戸建て住宅やマンションでは、床排水が主流です。
壁排水は、排水管が壁に設置されているタイプで、一部のマンションや公団住宅などで見られます。
床排水のメリットとデメリット
トイレの排水方式として主流の「床排水」ですが、見た目の良さや排水性能などの利点がある一方で、注意点もあります。床排水のメリットとデメリットを解説します。
床排水のメリット
床排水の大きな特徴は、排水管が床下に収まっていて、外からは見えない点です。配管が露出している壁排水に比べて、トイレ全体がすっきりとした印象になります。
また、排水管が垂直に設置された構造で排水力が安定しているため、壁排水より少ない水量での洗浄が可能です。
床排水のデメリット
床排水は、排水時の音が床を伝って響く傾向があります。特に夜間に使用する場合、家族が目を覚ましたり、集合住宅では騒音トラブルの元になったりするかもしれません。
また、配管が床下に完全に隠れているため、漏水や劣化などのトラブルに気付きにくい点にも注意が必要です。見えない部分で問題が進行するリスクがあるため、定期的な点検や床下の状態確認が大切です。
リフォームを考えている場合は、工期の長さもデメリットといえます。リフォーム時に床を剥がす必要があるため、その分の手間や時間がかかるためです。
床排水と壁排水の違い・見分け方
床排水と壁排水を見分けるには、便器の後ろや横をチェックしましょう。排水管が見えなければ床排水、壁と接続している配管が見えれば壁排水です。
それぞれの違いは次のとおりです。
排水方式 | 床排水 | 壁排水 |
排水管 | 床に接続 (外からは見えない) |
壁に接続 (外から見える) |
リフォームにかかる料金 | 比較的おさえられる | 壁内部の配管調整が必要なため高くなりがち |
水漏れ時の影響 | 床下に排水されやすく、被害は小さい傾向 | 壁内部や室内側に広がるなど、被害が大きくなりやすい |
詰まりのリスク | 高め | 低め |
リフォーム費用や水漏れした際の影響は床排水の方が少ない傾向にありますが、詰まるリスクは壁排水よりも高いとされています。
床排水の排水芯とは
床排水のトイレを設置・交換する場合は「排水芯」の確認が必要です。排水芯の位置が合っていないとトイレを設置できないことがあるため、必ずチェックしておきましょう。
排水芯は「壁から排水管までの距離」のこと
排水芯とは、トイレ背面の壁から排水口中心までの距離を指します。便器の真下にある排水口の中心と背面の壁の距離を測ることで、確認できます。
排水芯の種類は、200mmかそれ以外の2種類のみです。
床排水200mmとは
1995年以降に建てられた住宅の多くは「排水芯200mmタイプ」です。これは、背面の壁から床の排水口の中心までが200mmであることを意味します。この場合は、各メーカーの排水芯200mm仕様の製品を選べば問題ありません。
排水芯が200mm以外の場合は「リモデルタイプ(可変タイプ)」の製品を選ぶようにしましょう。リモデルタイプは、排水アジャスター(便器と排水管を繋ぐパーツ)を使って排水位置を調節することで設置が可能になります。
排水芯の調べ方
トイレの排水芯を調べる方法は、次の2つです。
- 品番や製品番号から調べる
- トイレの固定ネジの位置から測る
品番や製品番号がわかれば、メーカーWebサイトの製品情報・施工図などから排水芯が確認できます。
床に設置されている固定ネジ(キャップ)からも調べられます。ネジのうち大きい方の中心から、トイレ背面の壁までの距離が排水芯です。ネジが一つの場合は、そのネジの中心から測りましょう。
壁排水トイレの場合は、排水芯ではなく「排水高」の確認が必要になります。排水高の種類や確認方法など、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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まとめ
床排水とは、配管が便器の真下にある排水口から床下へと接続されている排水方式です。戸建てやマンションを中心に広く採用されています。
床排水のトイレを設置する場合は、排水芯を確認しておきましょう。200mm以外の場合は、リモデルタイプを選ぶ必要があります。
床排水は排水管が隠れているため、見た目がすっきりしているというメリットがあります。ただし配管が見えない分、漏水や配管の老朽化などのトラブルに気付きにくいリスクがあります。定期的に点検を行う、違和感がある場合は早めに業者に相談するなどの対策で、長く安心して使えるトイレ空間を維持していきましょう。