フラッシュバルブ式トイレは、商業ビルや公共施設で採用されることの多い、レバーで流すタイプのトイレです。自宅のハンドルタイプと異なるため、違いが気になっている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、フラッシュバルブ式の仕組みと家庭に多いタンク式との違いを詳しく解説します。後半ではメリット・デメリットも解説するので、自社ビルなどのトイレをどれにするか迷っている人も、ぜひ参考にしてください。
目次
フラッシュバルブ式とは?基本の仕組みと特徴
フラッシュバルブ式は、次の特徴をもつトイレです。
- レバーを押して流す
- 水道から直接水を流して洗浄
- タンクがない
水道直結で洗浄できるため、タンクに水を溜める時間を待つことなく連続使用できるのが大きな特徴です。また、水道の水圧を利用して便器を洗浄できます。
フラッシュバルブ式とタンク式の違い
フラッシュバルブ式とタンク式には、構造や使用感、設置条件などにさまざまな違いがあります。
方式 | フラッシュバルブ式 | タンク式 |
---|---|---|
必要水圧 | 高い水圧が必要 | 弱くても可 |
必要スペース | 狭いスペースでも設置可 | 広いスペースが必要 |
水の勢い(水流) | 強い | 中程度 |
メンテナンス性 | △ | ◎ |
設置場所 | 商業ビル・公共施設 | 民家(家庭用) |
ここでは両者を詳しく比較します。
水の供給方法と必要水圧
フラッシュバルブ式は水道の水圧を利用して便器を洗浄するため、水道自体の水圧が弱いと洗浄力が落ちます。フラッシュバルブ式の導入には、一定以上の水圧が必要です。
一方、タンク式はタンクに水を溜めることで水圧を確保するため、水道自体の水圧が強くなくても使えます。地域や建物の構造上の水圧に左右されないため、家庭ではタンク式が一般的です。
設置スペースとデザイン
タンクを持たないフラッシュバルブ式は、本体がコンパクトで省スペースです。壁際のスペースも有効活用でき、見た目もすっきりします。
対してタンク式はスペースを取るものの、収納棚との一体化など工夫がしやすく、家庭向けに普及しています。
水の勢い
フラッシュバルブ式は水道の水圧が高いことを前提に導入されるため、水の勢い(水流)が強いという特徴があります。頑固な汚れも落としやすいことがメリットです。このメリット面については次の章でも詳しく解説します。
タンク式は洗浄に必要な水圧は確保できるものの、水道直結ほどの高水圧ではないため、水流も強くありません。頑固な汚れまでは落としきれない可能性があります。
メンテナンスや修理のしやすさ
フラッシュバルブ式は構造が複雑で、故障時には専門業者による修理が必要になるケースが多いです。
タンク式は構造が比較的単純で、部品交換も容易です。家庭でのメンテナンス性に優れています。
設置場所
フラッシュバルブ式は、連続使用が多い公共施設や事務所などに多く設置されています。
一方、タンク式は水圧が低い環境や静音性を求める家庭に広く普及しています。
フラッシュバルブ式のメリット
フラッシュバルブ式のメリットは次のとおりです。
- 高い洗浄力を発揮
- 省スペースで設置可能
- 連続使用できる
- 清掃しやすい
水道の高い水圧を利用して洗浄できるため、日々の汚れがつきにくいことが大きなメリットです。
また、タンクが不要であるため省スペースで、限られた空間でも複数台を設置しやすいことから、商業ビルや公共施設などで採用されています。タンクに水を溜める時間を待つことなく連続使用できる点も、利用者にとっては便利なポイントです。
さらに、タンク内清掃の手間がかからないため、清掃にかかる時間や費用のコストを削減できます。
フラッシュバルブ式のデメリット
- 設置条件が厳しい
- 流水音が大きくなりがち
- 修理やメンテナンスには専門業者が必要
フラッシュバルブ式トイレは一定の水圧が必要なため、すべての建物に設置できるわけではありません。
また、水流が強い分、音が大きくなる傾向があります。家庭で設置した場合、夜中に使用すると騒音で家族が起きてしまうことが考えられます。家庭用としてはあまり見られない理由の1つです。
さらに、内部の構造が複雑なため、万が一トラブルが起きた場合は専門業者に依頼する必要があります。これらの点を理解したうえで、導入を検討することが重要です。
フラッシュバルブ式に関するよくある疑問Q&A
フラッシュバルブ式に関するよくある質問に回答します。
Q:音が大きいのは気になる?
A:フラッシュバルブ式は構造上、水が一気に流れるため音が大きくなります。
ただし、そもそも戸建住宅では配管径の関係で設置が難しいため、家庭において音の問題が発生する可能性は低いといえます。仮に導入する場合でも、静音性を求める環境には不向きといえるでしょう。
Q:メンテナンスや修理費は高い?
A:フラッシュバルブ式はピストンバルブなどの内部構造が複雑であり、部品単位での交換が難しいケースが多いです。
そのため、バルブ全体の交換や専門業者による対応が必要となり、タンク式と比べて修理費用は高くなる傾向があります。
まとめ
フラッシュバルブ式トイレは、強い水の力でしっかり流せるのが大きな魅力です。タンクがなく、すぐに使えるため、人の出入りが多い場所や狭いスペースに向いています。
ただし、このタイプは設置に条件があります。とくに戸建て住宅では、必要な水道管の太さを満たしていないことが多く、基本的には取り付けができません。そのため、使い勝手の前に「家の構造的にそもそも設置ができない」ケースが多い点に注意が必要です。
また、音が大きくなりがちだったり、修理のときに専門業者が必要だったりするため、日常の使いやすさを重視するならタンク式が安心です。静かで扱いやすく、家庭用として現実的な選択といえます。
まずは自宅の配管の状態や水圧をきちんと調べ、信頼できる業者に相談することが、失敗しないトイレ選びの第一歩です。