システムトイレとは、便器・手洗い器・収納などをセットで設置し、空間全体を一体的にデザインしたトイレのことです。おしゃれさだけでなく、掃除や収納の面のメリットが支持され、近年人気を集めています。
本記事では、システムトイレの定義やメリット・デメリットなどを解説します。代表的なシステムトイレとしてTOTOとLIXILの製品も紹介しますので、「自宅のトイレをもっと快適にしたい」「デザイン性のあるトイレにしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
システムトイレとは
まずは、システムトイレの定義や種類、タンクレストイレやタンク式トイレとの違いを解説します。
便器・手洗い器・収納一体型トイレのこと
システムトイレとは、トイレ空間に便器・手洗い器・収納などをセットで設置するトイレ空間のスタイルを指します。便器単体ではなく空間全体を一体化して設計することで、統一感のあるトイレにできます。
デザインにこだわったり、使い勝手や機能を重視したりなど、自分好みにカスタマイズできることから、近年人気が高まっています。
トイレ(便器)の種類はさまざま
システムトイレは便器の種類に関係なく、便器と周辺設備を一体化して設計した「トイレ空間全体の構成」を指します。便器の種類は主に次の3種類です。
タンクレストイレは、その名の通り水を溜めるタンクがないトイレです。
タンク式トイレは、便器の背面に設置されたタンクに水を溜めて流す、従来の一般的なトイレです。タンク・便器・便座が一体化している製品は一体型、それぞれが独立しているものは分離型と呼ばれます。
「システムトイレ」は便器を含めた空間全体を指すため、タンクレストイレを使用したシステムトイレもあれば、一体型タンク式トイレを使ったシステムトイレも存在します。
「トイレの種類」としてシステムトイレと便器の種類が並列で説明されることもありますが、「空間全体の構成」と「便器単体の仕様」という異なる切り口の分類であることをおさえておきましょう。
システムトイレの種類
システムトイレには、主に次の3タイプがあります。
種類 | イメージ | 特徴 |
タンクレストイレ+カウンター付手洗い器 | ![]() |
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収納キャビネット+手洗い付トイレ(I型) | ![]() |
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収納キャビネット+手洗い付トイレ(L型) | ![]() |
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いずれも便器と別途でキャビネットや手洗い器を設置するため、ある程度のスペースが必要です。また、タンクレストイレは建物の水圧が弱い場合は、設置ができません。
住宅の状況を確認し、それぞれ設置の可否を調べてから具体的に検討していくのが良いでしょう。
システムトイレのメリット
システムトイレは、デザイン性と機能性を両立できる点が大きな魅力です。主なメリットを解説します。
好みに合わせたトイレ空間をデザインできる
最大のメリットは、トイレ空間全体を自分好みにコーディネートできる点です。例えば、収納キャビネットのカラーや材質は選択肢が豊富で、ナチュラルな木目調からモダンなホワイト系まで、理想のコンセプトに合わせたトイレ空間を演出できます。
また、タンク式トイレのタンクや配管をキャビネット内に隠せるのも魅力です。スタイリッシュで洗練された空間にできるだけでなく、便器周りに汚れやほこりが溜まりにくくなるため掃除も楽になります。
収納や洗い場が一体化していて利便性が高い
システムトイレは収納スペースが多いため、予備のトイレットペーパーや掃除道具、サニタリー用品などを目につかないように収納できます。床に物を置かずに済むことで内観がすっきりし、掃除の手間も軽減されます。
さらに、トイレ内に手洗い器が設置されているため、わざわざ別の洗面所へ移動することなくその場でしっかりと手を洗えます。タンク式トイレに付属している手洗い器のように、手洗いの排水がタンク内に流れる構造ではないため、ハンドソープの使用も可能です。
また手洗い器は位置を調整できるため、小さな子供でも手が届きやすい位置に設置することもできます。
このように、家族構成や使用シーンに合わせて使い利便性を高められる点も、システムトイレならではのメリットです。
システムトイレのデメリット
自分好みにデザインできる点は利点ですが、一方で費用が高額になりがちな点には注意が必要です。システムトイレを選ぶ際におさえておきたいデメリットを解説します。
導入費用が高い
システムトイレは便器本体に加えてキャビネットやカウンター、手洗い器など複数の設備がセットになっているため、トータルの費用が高くなりがちです。特に、デザイン性の高いモデルの便器や設備を選ぶと、本体価格と工事費用を合わせて50万円から100万円ほどかかることもあります。
トイレのタイプ | 価格目安(本体価格+工事費用) |
システムトイレ | 20万円以上 |
タンクレストイレ | 20〜30万円程度 |
一体型タンク式トイレ | 10〜20万円程度 |
分離型タンク式トイレ | 5〜15万円程度 |
タンクレストイレはタンク式トイレよりも高額です。そのため、システムトイレの中でタンクレストイレを選択した場合は、よりコストも高くなります。
部分的な修理やリフォームがしにくい
システムトイレでは、デザイン性の高さからタンクレストイレや一体型タンク式トイレが人気です。ただし、これらのタイプは各パーツが一体化しているため、基本的に便座やウォシュレットなど一部だけを交換することはできません。
例えば、修理が必要なパーツがウォシュレットだけだとしても、機種によってはトイレ全体の交換が必要になるケースもあります。修理や部品交換の柔軟性という点では、分離型タンク式トイレの方が優れているといえます。
長く使うことを前提に、導入時にはメーカー保証の範囲やメンテナンスのしやすさも確認しておくと安心です。
システムトイレにできないケースに注意!
システムトイレはどの住まいにも設置できるわけではありません。導入する際は、設置に必要な条件を満たしているかどうかを事前に確認しておく必要があります。
設置には、例えば次のような条件があります。
- トイレの室内幅:750mm以上
- トイレの室内奥行:1,160mm以上
- 排水芯・排水高・コンセントの位置が適切であること
特に重要なのが、トイレ空間の広さと排水管・電源の位置です。一般的に室内の幅が750mm以上、奥行が1,160mm以上なければ、システムトイレは設置できません。収納キャビネットや手洗い器が加わる分、従来のトイレよりもスペースが必要になるためです。
また、排水芯や排水高が製品と適合していること、温水洗浄便座用のコンセントが所定の位置にあるかも大切です。もし条件に合っていない場合、別途配管や電気工事が必要になり、工事費が高額になる可能性もあります。
設置条件は製品によって異なる場合があるため、事前にメーカーの仕様書やカタログをよく確認しましょう。トイレの寸法を測った上で、設置業者に相談しておくと安心です。
なお、排水芯と排水高は、いずれもトイレの排水に関わる重要なポイントです。トイレが床排水の場合は排水芯、壁排水の場合は排水高を確認してください。詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
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システムトイレをおすすめできるケース
システムトイレは、特にトイレの内観や機能性にこだわりたい場合に検討価値が高い選択肢といえます。
- 自分好みのトイレ空間をつくりたい
- 十分な収納スペースが欲しい
- 掃除の手間を減らしたい
- 利便性を高めたい
費用面よりもデザイン性や利便性を重視したい方にとっては、トイレ空間全体をコーディネートできるシステムトイレが適した選択肢になるでしょう。
システムトイレを提供しているメーカー
システムトイレは、国内の大手住宅設備メーカーからも多数発売されています。ここでは代表的なメーカーとして、TOTOとLIXILの製品を紹介します。
TOTO
製品名 | レストパルF/レストパル |
画像 | ![]() ※画像引用:TOTO |
価格帯(内装工事費込み) | 26万円〜120万円ほど |
特徴 |
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TOTOの「レストパルF/レストパルシリーズ」は、キャビネットや手洗い器のバリエーションが豊富です。
トイレットペーパーを12個収納できる大型のキャビネットや掃除道具を収納しやすい引き出しラックなど、使い勝手に合わせた収納を選べます。また手洗い器は、種類・デザイン別に5種類のバリエーションがあります。
掃除のしやすさにもこだわっているため、日頃のお手入れの手間の軽減も期待できます。
LIXIL
製品名 | Jフィット |
画像 | ![]() ※画像引用:LIXIL |
価格帯(内装工事費込み) | 20〜40万円ほど |
特徴 |
|
LIXILの「Jフィット」はトイレのタンクや配管、各種用品をキャビネット内に隠せる仕様のキャビネット付きトイレです。
L型手洗い器は「プッシュ水栓」仕様となっており、器具への接触を最小限におさえて手洗いできます。
また、施工性が高い点も特徴です。トイレのリフォームには数日かかることも珍しくありませんが、Jフィットなら最短でその日のうちにトイレが使用できるようになります。
まとめ
システムトイレは、便器・手洗い器・収納などを一体化して設置するトイレ空間全体のスタイルを指します。デザイン性や収納力の高さ、利便性の高さなどが魅力で、インテリア性を重視する方にも人気があります。
一方で、導入費用が高くなりやすいことや、設置に必要なスペースや条件がある点には注意が必要です。排水方式や電源位置なども含めて、事前に確認しておくことが大切です。
トイレ空間にこだわりたい方や機能性を重視したい場合は、システムトイレも検討してみてはいかがでしょうか。