一体型タンク式トイレは従来の分離型トイレと比べて、掃除の手間やデザインなどの面で利点があることから、現在の主流になってきています。
しかし、メリットばかりではありません。一体型タンク式トイレの導入を検討中の場合は、メリット・デメリットの双方を知っておくことが大切です。
本記事では、一体型タンク式トイレの定義からメリット・デメリットを詳しく解説します。後半では従来の分離型トイレと新に登場したタンクレストイレとの違いも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
一体型タンク式トイレとは
一体型タンク式トイレとは、タンク・便器・便座が一体となっているトイレです。製品によっては、ウォシュレット機能を一体化しているタイプもあります。
タンク・便器・便座が別になっている分離型トイレと比べて構造がシンプルで、デザイン性にも優れていることから、スタイリッシュな空間を求める方に人気があります。
洗浄の仕組みは従来の分離型(※)と同様に、水をタンクに貯めて流す方式です。高地やマンションなどの水道の水圧が高くない場所でも、洗浄に必要な水圧を確保できます。
(※)分離型:便器とタンクが分かれているタイプ
一体型タンク式トイレのメリット
一体型タンク式トイレには、使いやすさや見た目の美しさなど、さまざまなメリットがあります。ここでは主な3つのメリットを紹介します。
掃除がしやすい
一体型タンク式トイレは、すべてのパーツが一体となっているため、つなぎ目や凹凸が少ないのが特徴です。汚れが入り込みにくいため、拭き掃除の手間が楽になります。
また、ほとんどの製品で便器の内側に巻き返しがないフチ無し形状を採用しており、フチ裏に汚れが蓄積する心配もありません。
デザイン性が高くスタイリッシュ
つなぎ目や凹凸が少ない、なめらかかつ直線的なシルエットでデザイン性が高いことも、一体型タンク式トイレの魅力です。すっきりとした印象で、トイレ空間が広く感じられます。スタイリッシュなデザインが好きな人におすすめです。
また、先述の掃除のしやすさも含めてトイレ空間の清潔感を保ちやすいため、来客が多い家庭のトイレとしても適しています。
手洗い器の有無が選べる
一体型タンク式トイレは、手洗い器の有無や形状を選べるため、トイレ空間全体を自分好みに設計しやすいのが特徴です。
タンクの上に手洗い器を付ける場合は、浅いボウルと深いボウルを選べます。浅いボウルはコンパクトでスタイリッシュ、深めのボウルは水ハネが少なく実用的です。
手洗い器なしを選ぶとタンクの高さを抑えられるため、よりコンパクトでスッキリとした印象を与えます。トイレ空間の面積が広い場合は、独立した手洗いスペースを設置することも可能です。
一体型タンク式トイレのデメリット
掃除がしやすくスタイリッシュな一体型トイレですが、デメリットもあります。
部分的な修理や取り替えができない
一体型タンク式トイレは、各パーツが一体化しているため、部分的な交換が難しい場合があります。たとえばウォシュレットが故障し、便器やタンクには問題がない場合でも、一式を交換しなければならないということです。部分的な交換と比べて費用が高くなります。
メーカーの保証期間内の故障であれば費用の負担はほとんどありませんが、長期的に使用することを前提にした将来の費用負担は考慮しておきましょう。保証期間や有償の延長保証制度の有無などを確認しておくことを強くおすすめします。
機能をカスタマイズできない
一体型タンク式トイレは総合設計されているため、便器・タンク・ウォシュレットなどのパーツを好みのものに変更することはできません。たとえば、蓋の自動開閉機能がない製品の場合、カスタマイズで機能を追加することはできないということです。
欲しい機能が決まっている場合は、すべてを叶えられる製品を選ぶか、分離型トイレを選択してパーツごとにカスタマイズするかの2択になります。
ただし、前者の場合は不必要な機能が搭載されている可能性もあります。多機能な製品ほど高額な傾向もあるので、コストとのバランスを考慮しましょう。
どっちがいい?一体型タンク式トイレと他のトイレとの違い
ここでは、一体型タンク式トイレと従来の分離型タンク式トイレ、新たに登場したタンクレストイレとの違いをわかりやすく比較します。
分離型タンク式トイレとの違い
トイレの種類 | 一体型タンク式トイレ | 分離型タンク式トイレ |
---|---|---|
画像 | ![]() |
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構造 | タンク・便器・ウォシュレットが一体 | パーツごとに分かれている |
掃除のしやすさ | 継ぎ目や凹凸が少なく掃除がしやすい | 凹凸が多く掃除が手間 |
機能のカスタマイズ | カスタマイズ不可 | 自由に選べる |
修理対応 | 部分修理が難しいケースもある | パーツ単位で修理可能 |
価格帯(工事費込み) | 20~40万円程度 | 10~25万円程度 |
分離型タンク式トイレは各パーツが分かれているため、それぞれのパーツを好みのものでカスタマイズできます。たとえば、導入から数年が経過したときに、ウォシュレットだけを最新製品に交換することも可能です。
また、故障時も部分的な交換ができるため、修理にかかる費用を抑えやすいというメリットもあります。
デメリットは構造上の凹凸が多く、汚れが溜まりやすい点です。掃除のしやすさやデザイン性では一体型タンク式トイレに軍配が上がります。
分離型タンク式トイレについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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タンクレストイレとの違い
トイレの種類 | 一体型タンク式トイレ | タンクレストイレ |
---|---|---|
画像 | ![]() |
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構造 | タンク・便器・便座が一体 | タンクがない |
水の流し方 | タンクにためた水で流す | 水道の圧力で直接流す |
掃除のしやすさ | つなぎ目や凹凸が少なく掃除しやすい | 凹凸が少なく非常に掃除しやすい |
手洗い器 | タンク上に付けられるタイプあり | 基本的に手洗い器なし |
停電時の使用 | 基本的に使用可能 | 電源がないと使用できないケースがある |
価格帯(工事費込み) | 20〜40万円程度 | 25〜50万円程度 |
タンクレストイレは水道から直接給水して洗浄する方式です。タンクが必要ないため、一体型タンク式トイレよりも、さらにすっきりした印象があります。奥行が狭いスペースでも、足を広げるスペースを確保できるでしょう。
また、タンクに水が溜まるのを待つ必要がなく、連続使用できるというのもタンクレストイレならではの大きなメリットです。
デメリットは停電時に使用できない場合があることと、コスト面が上げられます。タンクレストイレは水の供給を電力で制御しているため、代替の電力を持たない製品の場合は停電時に使用できません。また、価格は一体型タンク式トイレと比べて高額な傾向にあります。
タンクレストイレについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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一体型タンク式トイレに関するQ&A
ここからは一体型タンク式トイレによくある疑問について回答します。
一体型タンク式トイレの寿命は?
一体型タンク式トイレの寿命は、一般的に15年から20年ほどといわれています。ただし、内部の部品ごとに耐用年数は異なります。
たとえば、洗浄ノズルや逆流防止装置は5年〜10年程度で交換が必要になることがあります。15年を過ぎると、便座やウォシュレットなど主要な機能部分の取り替えを検討する時期に入ります。
また、一体型トイレは製品が廃番になると、対応する部品の入手が難しくなり、修理ができず本体ごと交換しなければならない場合もあります。
便座交換ができる一体型タンク式トイレがある?
一体型トイレは、基本的に便器・タンク・便座が一体化しているため、部分的な交換が難しいとされています。一部の故障でも、トイレ全体の交換が必要になるケースがあります。
しかし近年は、便座部だけを交換できる製品も登場しています。たとえばLIXILの「リフレッシュシャワートイレ」は、シャワートイレ部(タンク+温水洗浄便座)のみを交換できる設計になっており、将来的なメンテナンス性が向上しています。
このようにさまざまな製品が販売されているので、将来の交換や修理のしやすさも含めて検討するのがおすすめです。
まとめ
一体型タンク式トイレは、タンク・便器・便座が一体化された構造で、掃除のしやすさや見た目のスッキリさが魅力です。デザイン性を重視する方や、トイレ空間をスッキリとまとめたい方におすすめです。
一方で、機能のカスタマイズが難しかったり、部分的な修理がしづらいなどのデメリットもあります。購入時には将来的なメンテナンス性や保証内容をしっかり確認することが重要です。
また、分離型やタンクレストイレなど他のタイプと比較することで、自分に合ったトイレ選びがしやすくなります。それぞれの特長や価格帯を踏まえ、生活スタイルや設置環境に合ったトイレを選びましょう。