煙や油・ニオイを吸い込む換気扇(レンジフード)は、清潔で快適な調理環境を保つために欠かせません。フィルターやファンの内部は油汚れやホコリが溜まりやすく、放置すると掃除が大変になるだけでなく、換気効率の低下や火災リスクにつながります。
本記事では、自分でできる換気扇掃除の方法や、換気扇汚れの原因、放置するリスクなどを解説します。適切な換気扇掃除のやり方を知って、換気扇の清潔や安全を維持しましょう。


換気扇掃除はなぜ必要?

はじめに、換気扇掃除の必要性について解説します。換気扇汚れの原因や、汚れを放置するリスクを紹介します。
換気扇が汚れる原因
キッチンの換気扇汚れの主な原因は油とホコリの2つです。換気扇は、日々の調理で発生した煙や蒸気を吸い上げると同時に、油や空気中のホコリも吸い上げています。
調理中に飛び散った油・蒸気に含まれた油分は、フィルターやファンなどに付着し、そこに空気中のホコリがくっついて固まることで、いわゆる「換気扇汚れ」となります。
換気扇掃除をせず放置するリスク
換気扇汚れを放置すると、次のようなリスクが生じます。
- 換気効率の低下
- 異音の発生
- 火災のリスク
まず、油やホコリがフィルターやファンに蓄積して目詰まりすると、換気能力が低下します。汚れたままの換気扇では、調理時の煙や蒸気を十分に吸い上げられません。結果、室内にニオイがこもったり、壁や家具に油汚れが付着しやすくなります。
また、油汚れがファンに付着すると、回転バランスが崩れて「ブーン」「ゴー」といった異音が発生することがあります。
さらに、蓄積した油汚れに引火し、火災につながる恐れもゼロではありません。キッチンの清潔・安全を保つためには、換気扇の定期的な清掃が必要です。
自分でできる換気扇の掃除方法

家庭でできるキッチンの換気扇掃除の方法を解説します。換気扇掃除は、分解してパーツごとに洗うのが基本です。手順ごとに詳しく説明するので、ぜひチャレンジしてください。
1.換気扇掃除に必要なもの
まずは掃除に必要なものを準備しましょう。
- 新聞紙や古紙
- ゴム手袋
- アルカリ性洗剤(重曹やセスキ炭酸ソーダなど)
- 古い歯ブラシなど
- 雑巾やキッチンペーパー
新聞紙や古紙があると、作業を始める前にコンロや壁から汚れを守ったり、分解した部品や洗った部品の一時置き場に使えたりして便利です。また、換気扇は油汚れでベトベトしているので、ゴム手袋があると滑りにくく不快感が薄れます。
換気扇に付着した油汚れには、アルカリ性洗剤が有効です。具体的には、セスキ炭酸ソーダまたは重曹などを用いましょう。
汚れを落とす際は、細かいところも擦れるような道具があると便利です。古い歯ブラシやスポンジがおすすめですが、ヘラや竹ぐしに古布を巻き付けたものでも代用できます。雑巾やキッチンペーパーは、本体の拭きあげに使用します。
2.養生や安全確保
換気扇掃除を始める前に、まずは必ず換気扇の電源を切ってプラグを抜いておくことを徹底しましょう。感電やケガを防ぐためです。
電源プラグがある場合は抜き、見当たらない場合や抜けない場合はブレーカーを落として対応してください。
また、キッチンコンロや壁・床などの汚れを防ぎたい場合は、事前に新聞紙などで養生しておくと安心です。
3.フィルターとシロッコファンを外す
いよいよ作業を始めましょう。まずはフィルターとシロッコファンを外します。フィルターは、換気扇にある網目状の部品で、シロッコファンはフィルターを外した奥にある円筒状の部品です。
工具を用いるなど難しい作業のように思われるかもしれませんが、キッチンの換気扇は分解して部品ごとに洗うことが推奨されています。分解も簡単にできるよう設計されているので、安心してください。
フィルターとシロッコファンを外す手順は次のとおりです。
深型の換気扇 | 浅型(整流板付き)の換気扇 |
---|---|
![]() | ![]() |
1.フィルターを上にずらしながら外す 2.4か所のネジを外して円盤を取る 3.中央のつまみを時計回りに回して外す 4.シロッコファンを取り除く | 1.ストッパーを外して整流板(手前の平らなカバー)を外す 2.留め具を取るなどしてフィルターを外す 3.中央のつまみを時計回りに回して外す 4.シロッコファンを取り除く |
部品の取り外し方はメーカーや製品によって異なります。製品の記載や取扱説明書を読んで作業してください。
また、シロッコファンのつまみを外す際は、ファンが落ちてきてケガをしないようにファンを押さえながら作業しましょう。一般的なネジとは反対に回す逆ネジなので注意してください。
4.フィルター・ファンをつけ置きする
フィルターとシロッコファンにこびりついた油汚れにはつけ置きが有効です。次の手順でシンクにお湯を貯めてつけ置きしましょう。
- シンクの排水口をふさぐ
- フィルターとシロッコファンを置く
- 重曹やセスキ炭酸ソーダを全体に振りかける
- 50~60℃程度のお湯をシンクに貯める
- 30分〜1時間ほど放置する
- 浮いた汚れを古歯ブラシやスポンジでこすり洗い
- 水でよく洗い流す
- 新聞紙などの上で乾燥させる
部品が大きいので、シンクを使ったつけ置きがおすすめです。シンクの排水口をふさげない場合は、シンクにゴミ袋を広げ、そのなかに部品を入れてつけ置きする方法もあります。
洗剤はアルカリ性質を持つ重曹やセスキ炭酸ソーダがおすすめです。アルカリ性の洗剤が、酸性の汚れである油汚れを分解してくれます。
汚れやベタつきが取れない場合は、中性洗剤を付けた古い歯ブラシでこすり洗いするのも有効です。普段使いの食器用洗剤でも効果があります。洗い終わったら水ですすいでしっかり乾燥させましょう。
重曹を使った掃除方法にについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

4.本体の掃除
フィルターやシロッコファンだけでなく、換気扇本体の掃除も行います。部品のつけ置きをしている間に済ませておくと効率的です。
換気扇本体も、油汚れやホコリが付着しています。つけ置きはできないので、重曹を水に溶かした重曹水の使用がおすすめです。重曹水は、水100mlに重曹小さじ1(約5g)をよく溶かして作ります。スプレーボトルに入れると、広範囲に吹きかけられて便利です。
重曹水は、雑巾などに含ませることで換気扇の本体やフードの内側・外側などを簡単に掃除できます。食器用洗剤も効果的ですが、泡立って拭きあげるのが難しくなるので薄めて使うのがおすすめです。
油汚れがこびりついている部分は、重曹水をスプレーして10~20分ほど放置してから拭きあげると汚れが落ちやすくなります。
5.外した部品を戻す
フィルターとシロッコファン、本体を清掃したら、しっかり乾燥させましょう。乾燥しないまま戻してしまうと、カビや錆の発生、漏電や故障の原因になる恐れがあります。部品を戻す前は必ず水分が残っていないか確認して、必要に応じて乾いた布やキッチンペーパーなどで水気を取りましょう。
乾燥できたら、部品を元に戻します。シロッコファンは、つまみを取り付ける際もしっかり押さえ、落ちてこないよう気を付けましょう。すべての部品を戻したら、プラグやブレーカーを戻して完了です。
汚れがこびりつかないよう、3か月に一度以上のペースなど、定期的な掃除がおすすめです。
換気扇掃除で困ったときの対処法

解説したように、換気扇は手順を守れば家庭でも簡単に掃除できます。しかし、「これはどうするの?」「うまくいかない」など、トラブルが起きる可能性もゼロではありません。
本章では、換気扇掃除でよくあるトラブルとその対処法を解説します。
ファンがうまく外せない
シロッコファンは油汚れを多く含んでおり、外れにくくなっている場合があります。シロッコファンが外れないときは、次の対処法を試してください。
- 滑りにくいゴム手袋を着用する
- 反時計回りに回していないか確認する
- つまみ(ネジ)部分をドライヤーで温める
- 浸透性オイル(潤滑剤)をかける
まずは、ケガを防止するためにもゴム手袋を着用し、つまみは時計回りに回しましょう。通常のネジとは回す方向が逆なので気を付けてください。
油が固まって動かない場合は、つまみ部分をドライヤーで温める方法が有効です。錆が原因の場合は、浸透性オイルの使用も向いています。ただし、ワンタッチ式のシロッコファンに浸透性オイルを使用するとむしろ外れにくくなるため、使用できません。
無理に外そうとすると破損やケガの恐れがあるため、慎重に作業しましょう。上記の方法を試してもうまく外れない場合は、外さずにできる範囲の掃除に留め、業者に依頼したほうが無難です。


汚れが落ちない
重曹やセスキ炭酸ソーダを使用したつけ置きでの掃除方法を紹介しました。それでも汚れが落ちない場合は、他の方法も検討しましょう。
- 換気扇専用洗剤を試す
- 業者に依頼する
換気扇などの頑固な油汚れ用に、さまざまな専用洗剤が販売されています。試してみたい商品がないか探してみるのもおすすめです。
しかし、長年放置した頑固な油汚れは、市販の洗剤では落としにくい可能性もあります。業者に依頼して、取り外しから洗浄、取り付けまですべて任せてしまうのも手です。プロは専用の強力な洗剤や高圧洗浄機を用いて、内部の汚れまで清掃します。
モーターから異音がする
掃除をしても換気扇からの異音が改善しない場合は、業者に修理の依頼をしましょう。
異音の原因は、油汚れによってモーターのバランスが崩れたことだけでなく、モーター自体の故障の可能性もあります。掃除をしても異音が続く場合は、故障の可能性が高いと考えられます。
部品交換や修理には専門知識が必要です。使用を中止して、メーカーや修理業者などに連絡しましょう。
まとめ
キッチンの換気扇は、3か月に一度以上のペースの定期的な掃除が必要です。
換気扇には、日々の使用で油汚れやホコリが多く付着します。掃除せず放置すると、換気効率の低下や異音、発火などの恐れもあります。清潔で安全なキッチンを維持するために、掃除を怠らないようにしましょう。
換気扇掃除は時間こそかかりますが、手順としては部品を外し、つけ置きして磨き、再度取り付けるだけです。本記事を参考にやり方を覚えて、定期的に掃除する習慣を身に付けてください。

