密結ロータンク式トイレは、タンクが便器から1メートル以内に設置されたロータンク式トイレのひとつです。
現在はタンク・便器・温水洗浄便座(ウォシュレット)がセットの一体型やタンクレストイレの人気が高まっていますが、密結ロータンク式も現役でスタンダードなタイプといえます。
本記事では密結ロータンク式トイレの特徴に加え、他のロータンク式トイレやハイタンクトイレとの違いも解説します。人気の密結ロータンク式トイレも紹介しますので、トイレ選びの際にお役立てください。


密結ロータンク式トイレとは?

まずは密結ロータンク式トイレの定義や他のロータンク式トイレ、ハイタンクトイレとの違いを解説します。
便器の上にタンクが付いているトイレ
「密結ロータンク式トイレ」は、タンクを便器のすぐ上に、密着するかたちで取り付けたトイレを指します。「密結」の読み方は「みつけつ」です。
一般に「タンク式トイレ」という場合は、密結ロータンク式トイレをイメージする人が多いでしょう。それほど、家庭用トイレとしてスタンダードなタイプです。
他のロータンクトイレやハイタンクトイレとの違い
密結ロータンク式トイレはスタンダードなタイプですが、タンク式トイレにはその他のタイプもあります。ここでは、密結ロータンク式以外の4つのタイプを紹介します。
タンクのタイプ | 画像 | 特徴 |
---|---|---|
ハイタンク | ![]() | タンクが天井近くに設置されている チェーンを引いて水を流す |
隅付きロータンク | ![]() | トイレのコーナー(隅)にタンクが設置されている |
平付きロータンク | ![]() | 四角く平なタンクが壁に設置されている |
一体型ロータンク | ![]() | タンク・便器・便座が一体化している |
ハイタンクトイレや隅付きロータンクトイレは現在ではあまり見られなくなりました。家庭用として使われているケースもありますが、メンテナンス面の課題から他のトイレへのリフォームを検討する方が多いようです。
平付きロータンクトイレは、省スペース型の設計で間取りに限りがある場合に採用されています。一体型ロータンクトイレは「一体型タンク式トイレ」とも言われ、デザイン性の高さや掃除のしやすさなどの機能面から近年人気が高まっているトイレです。
これらは全てタンク式のトイレです。トイレには他にも、タンクがない「タンクレストイレ」もあります。
密結ロータンク式トイレのメリット

密結ロータンク式トイレが主流となっている理由には、選択肢の多さや価格面などメリットが多いことも挙げられます。主な6つのメリットを紹介します。
すっきりした印象のトイレにできる
密結ロータンク式トイレは便器とタンクがくっついているため、トイレに一体感が出ます。便器とタンクが離れた位置にある平付きや隅付きタイプと比べて、見た目がすっきりする点はメリットと言えるでしょう。
手洗い器の有無を選べる
密結ロータンク式トイレは、タンクの上に手洗い器を付けるかどうかを選べます。トイレ内に手洗いスペースを確保したい場合に便利です。
タンクには手洗い器を付けず、別途手洗い場を設けるという選択も可能です。
さまざまな機能・デザインを選べる
密結ロータンク式はスタンダードなタイプとして広く普及しており需要も高いため、市場のラインアップが豊富です。機能やデザインを幅広い選択肢から選べます。
たとえば、節水を重視したモデルや掃除のしやすさを追求したデザイン、便器や蓋のカラーが選べるタイプなどです。予算や好みに応じて検討できることは、大きなメリットといえます。
一体型タンク式トイレやタンクレストイレよりも安価
近年人気が高い一体型タンク式トイレやタンクレストイレと比べると、密結ロータンク式トイレは比較的安価です。タイプごとの価格帯は次のとおりです。
トイレのタイプ | 価格目安(本体価格+工事費用) |
---|---|
密結ロータンク式トイレ | 5〜15万円程度 |
一体型タンク式トイレ | 10〜20万円程度 |
タンクレストイレ | 20〜30万円程度 |
価格に開きがあるのは、設置環境や製品のグレードで左右されるためです。しかし、平均的に密結ロータンク式トイレは安価といえます。
コストを抑えたい場合には密結ロータンク式トイレ(いわゆる「分離型タンク式トイレ」)が有力な選択肢になるでしょう。
メンテナンスしやすい
密結ロータンク式トイレは便器とタンク、便座がそれぞれ独立している「分離型」のトイレです。そのため、故障した際は部品単位での修理・交換が可能です。
たとえば、タンクが故障した場合は、タンクを修理・交換するだけでよく、便器や便座はそのまま使えます。一体型やタンクレスのように「トイレを丸ごと交換する」必要がないため、手間もコストもおさえられます。
メンテナンスがしやすく、将来の支出もおさられる点は密結ロータンク式トイレの大きなメリットと言えるでしょう。
停電時も使用できる
密結ロータンク式トイレは、タンクに溜めた水を使って洗浄します。水を流す際に電気を使うことはないため、停電時でも普段どおりに使用できます。
密結ロータンク式トイレは、タンクに溜めた水を使って洗浄します。水を流す際に電気を使うことはないため、停電時でも普段どおりに使用できます。
一方タンクレストイレは、水の供給を電気で制御しているため、停電時は使用できない可能性があります。手動で操作できる仕様の製品もありますが、不便さは否めないでしょう。
密結ロータンク式トイレにはこのような心配がないため、万一の際にも安心です。
密結ロータンク式トイレのデメリット

密結ロータンク式トイレの主なデメリットを解説します。
凹凸部分が汚れやすい
密結ロータンク式トイレは、便器とタンクが密着して設置されていますが、実際には多少の段差や継ぎ目などの隙間があります。そのため、タンクと便器・便座の接合部などの凸凹部分にほこりや汚れが溜まりやすく、こまめな清掃が必要です。
一体型やタンクレストイレのように、凸凹を少なくして掃除のしやすさを意識して設計されたタイプと比べると、手入れのしにくさが気になる方もいるかもしれません。
スタイリッシュではない
密結ロータンク式トイレは、機能性を重視した実用的なデザインが多く、デザイン性はやや控えめです。
トイレ空間全体の見た目にこだわりたい方や、ホテルライクな内装を目指しているなど、デザイン性を重視する場合は他のタイプも検討してみると良いでしょう。


人気の密結ロータンク式トイレ
各メーカーからさまざまな密結ロータンク式トイレが発売されています。最低限の機能が備わった安価なタイプから、節水性や清掃性にこだわったものまでラインアップは豊富です。
本章では機能面にもこだわりのある、人気のTOTOとLIXILのトイレを紹介します。
TOTO「ピュアレストEX」
製品名 | ピュアレストEX |
---|---|
画像 | ![]() |
本体価格帯(税込) | 便器:75,350円 タンク:76,890円 温水洗浄便座セット:385,990円 (便器+タンク+ウォシュレット) |
特徴 | 掃除のしやすさと節水性を両立したモデル 4色から選べる |
TOTOの「ピュアレストEX」は、掃除のしやすさにこだわった密結ロータンク式トイレです。便器側面の凸凹をサイドカバーで覆った、すっきりしたデザインが特徴です。
フチなし形状で掃除がしやすい他、「トルネード洗浄」により、少ない水で効率よく汚れを洗い流します。カラーはホワイト、パステルアイボリー、パステルピンク、ホワイトグレーの4色から選べます。
LIXIL「アメージュ便器」
製品名 | アメージュ便器 |
---|---|
画像 | ![]() ※画像引用:LIXIL |
本体価格帯(税込) | 204,600円〜 ※CW-KB31(便座)と組み合わせた場合 |
特徴 | さまざまな排水方向や幅広い排水芯に対応 「お掃除ラクラク」かつ節水性の高いモデル |
LIXILのアメージュは抗菌・防汚仕様のアクアセラミックが魅力のシリーズです。滑らかな表面で汚れや水アカの付着を防ぎます。汚れが溜まりがちな便器のフチを排除した「フチレス形状」を採用していることも含め、掃除の手間を減らせることがメリットです。
また排水芯の対応範囲が広いため、多くの床排水トイレに設置できます。
排水芯とはトイレ背面の壁から排水口中心までの距離のことです。トイレを設置する際は、排水芯が適合している必要があります。詳しくはこちらの記事で解説しています。

まとめ
密結ロータンク式トイレは、便器とタンクが密着するように取り付けられたトイレです。家庭用トイレとしてスタンダードなタイプで、価格の安さや手洗い器の有無を選べる点など、実用性に優れたメリットが豊富です。
特に、長期的に使いやすくメンテナンスしやすいトイレを探している方にとっては、安心できる選択肢となるでしょう。
一方で、凹凸部分の掃除のしやすさや、デザイン性の面では一体型やタンクレストイレの方が優れたものが多いかもしれません。
価格や掃除のしやすさ、修理・交換のしやすさなど、トイレ空間を作る際に重視するポイントに合わせて選んでいきましょう。

