トイレの配管とは?構造・配管図と役割を詳しく解説

トイレの配管は排水管と給水管の2種類に分けられます。このことはトイレの見た目からもイメージできるでしょう。しかし、上下水道とつながる配管構造は壁内・床下内にあるため、わかりづらいものです。

そこで本記事では、トイレの給水・排水の構造を図解とともにわかりやすく解説します。配管の種類ごとの役割やトラブルの種類、排水管のつまりやすい場所や簡単にできる詰まり対策なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

トイレの配管とは

トイレの配管には排水管と給水管があります。それぞれの違いを解説します。

排水管

排水管は雨水・汚水(生活排水)を流すためのパイプです。排水口から流れる汚水を、公共の下水道につないでいます。なお、排水方式には雨水と汚水を同じ管で流す合流式と、雨水と汚水を分けて流す分流式があり、家庭では分流式が主流です。

排水管と下水道の経路のなかで、ゴミや汚れが溜まりやすい場所には排水桝が設置されています。点検や清掃で使うための蓋で、一軒家の場合は駐車場や庭などで蓋部分を確認できるでしょう。

なお、トイレの排水に関しては、壁内の排水管に接続する壁排水と床下の排水管に接続する床排水の2種類があります。

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給水菅

給水菅は公共の配水管(水道本管)とつながっているパイプです。家庭に接続する部分には水道メーターが設置されており、使用量を計測できる仕組みになっています。

使用各所ごとに止水栓が設置されているのも給水菅の特徴です。止水栓は水の流れを止めるときや水量を調整するときに使われます。トイレの場合、止水栓を経由した給水菅はトイレのタンクまたはタンクレストイレの給水部分につながっています。

なお、風呂・洗面台・キッチンで使うお湯は、給湯器から給湯されるものです。給湯器が給水菅とつながっており、給湯管を通して室内の各所に沸かしたお湯を供給しています。

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温水洗浄便座(ウォシュレット)は給湯管とつながっていない

温水洗浄便座(ウォシュレット)は給湯管とはつながっていません。常温の水を温水洗浄便座に給水し、内部で温める方式です。

温水洗浄便座の湯沸かし機能は、貯湯式と瞬間式に分けられます。

貯湯式は常にお湯を温めながら貯めておく方式です。初期費用の安さがメリットですが、貯湯スペースが必要なことや電気代が高めであること、連続使用に向かないことなどのデメリットもあります。

瞬間式は温水を使うたびに瞬間的に加熱するタイプです。セラミックヒーターなどの湯沸かしシステムが内蔵されています。電気代を抑えられることや連続使用ができること、省スペースであることがメリットです。ただし、初期費用は高額な傾向にあります。

トイレにつながる家全体の配管図

ここでは、トイレの給水・排水の構造を平屋と二階建ての家に分けて紹介します。

平屋の配管構造

家の壁内や床下に給水菅・排水管・給湯管が通っており、水を使う各所に分岐して接続されています。水まわりが壁を挟んで一カ所に集中している間取りが多いのは、距離を短縮することで効率よく給排水するためです。

2階建ての配管構造

2階建てでも基本的な給排水の構造は変わりません。平屋と異なるのは、2階部分の床下が1階の天井裏と呼べることです。配管構造によっては、2階で水を使用したときに1階の天井部分から音が伝わる可能性があります。

なお、地域や建物の構造によっては、2階で使用する水の水圧が足りないことがあるため、水圧を確保するために屋根裏や屋上に貯水槽を設けることがあります。マンションの屋上に貯水槽があるのは、この水圧を確保するためです。

トイレの配管のトラブルとは?

トイレの配管トラブルには次のような種類があります。それぞれを詳しく解説します。

  • 詰まり
  • 水漏れ
  • 逆流
  • 封水切れ

詰まり

トイレの詰まりには、便器内部の詰まりまたは排水管の詰まりの2種類があります。便器内部の詰まりであればラバーカップ(スッポン)などで対処できますが、排水管の詰まりの場合は業者への相談が必要です。

水漏れ

配管の破損や経年劣化などで水漏れするケースです。壁排水や給水菅から水漏れした場合は、壁面が濡れるため早期発見できるでしょう。

しかし、床排水の排水管から水漏れした場合は便器が上にあるため、多少の水漏れでは気づかない可能性があります。掃除をしてもすぐに床が濡れてしまうという場合は、床排水の水漏れを疑いましょう。

逆流

トイレが逆流すると、便器の排水部分から水が噴出する恐れがあります。その原因には次のようなものがあります。

  • 詰まり
  • 排水桝のオーバーフロー
  • 大雨や地震などの災害

トイレ周りの排水管でトイレットペーパーなどの詰まりが生じると、水を流したときに逆流する可能性があります。

風呂やキッチンなどで大量の水を流した場合に、家の各所の汚水が合流する排水桝がオーバーフローを起こす可能性があります。この場合、トイレだけでなく風呂やキッチンなどでも逆流がみられることがあります。

大雨や地震などの災害で、下水道に土砂が流れ込むと家全体の排水効率が低下するため、トイレを含めた排水口各所から逆流する可能性があります。この場合は、水まわり修理業者の守備範囲外なので、水道局に連絡して対応してもらいましょう。

封水切れ

封水は便器内部に溜まっている水のことで、悪臭や害虫が室内に侵入するのを防ぐ役割を果たしています。この封水切れもトイレの配管トラブルの一つです。封水切れの要因には次のようなものがあります。

  • 封水の蒸発
  • 排水管内の気圧の変化
  • 排水管の詰まり
  • 水の供給不足

封水の蒸発は、夏の旅行などで長期間トイレを使用しなかった場合に起こるものです。未使用の状態で水を流せば復活するでしょう。業者に相談すべきトラブルは、排水管内の気圧の変化と排水管の汚染、水の供給不足です。

排水管内の気圧が変化すると、誘引現象がおこり封水が排水管に吸い込まれて量が不足します。強風や温度変化の激しい日に一時的な気圧変化が起こる場合は、放っておけば直りますが、頻繁に誘引現象が起こる場合は通気菅の設置などの対応が必要です。

また、排水管が詰まっていると水が十分に排出されず、次の封水が貯まりづらくなります。ラバーカップ等で対処しても改善しない場合は、水回りの修理業者に相談しましょう。

水の供給不足は、給水管の劣化またはタンク内の補助水管の劣化・破損が考えられます。部分修理のための専門知識が必要なので、水回りの修理業者に相談しましょう。

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トイレの配管の詰まりはどこで起こる?

トイレが配管がつまりやすい部分を3つに分けて解説します。

「せき」の部分が詰まりやすい

せきはトイレの便器と排水管の間にある部分です。封水を設けるために作られた部分で、水が流れにくいからこそトイレットペーパーが詰まりやすい部分でもあります。

流すものが多いときや、流す水の量が少ないときに、せきが詰まるので注意しましょう。なお、せきが詰まっただけであればラバーカップで対処できる可能性があります。

床下・壁内の排水管が詰まる

床下や壁内に通された排水管が詰まることがあります。この場合はラバーカップを使用しても改善しない可能性が高いため、水回りの修理業者に相談しましょう。ワイヤー式パイプクリーナーなどで詰まりをほぐし、状況を改善してくれます。

排水桝(汚水桝)が詰まる

排水桝(汚水桝)が詰まったときは、屋外にある排水桝の蓋を開けて内部を点検・清掃する必要があります。建物全体に関わる部分であるため、自分で対処することはおすすめできません。水回りの修理業者に相談し、点検してもらいましょう。

トイレの配管が詰まりやすい理由は?

トイレの配管が詰まりやすい生活習慣と家の構造を解説します。

「大」で流していない

トイレの排水レバーには「小」「エコ」「大」などがありますが、流すものの量で使い分ける必要があります。目安は次の通りです。

排水設定 シーン トイレットペーパーの使用量上限
大便 シングル:10m
ダブル:5m
エコ 小便 シングル:3m
ダブル:1.5m
男性の小便 ―(不使用)

大便時にトイレットペーパーを使ったら、必ず「大」で流しましょう。また、清掃等でシングル10m以上のトイレットペーパーを使う場合には、「大」かつ2回以上に分けて流すことをおすすめします。

トイレの排水管が風呂の排水管より奥にある

トイレ直下の排水管で詰まりが生じても、大量の水を流す風呂の排水管と合流できる場合には、詰まりが解消する可能性があります。

しかし、風呂の排水管の方が下水道に近い場所にある場合、トイレの詰まりを風呂の水で解消することができないため、比較的詰まりやすい傾向にあります。流すものの量に一層気を付けましょう。

トイレの配管に関するよくある質問

最後に、トイレの排水管に関するよくある質問4つに回答します。

トイレの配管を隠したいのですが

配管隠しは隠蔽配管(いんぺいはいかん)と呼ばれる、近年流行のスタイルです。TOTOのネオレストなどでは、タンク部分を便器と一体化した遮蔽物で隠せるため、スタイリッシュな見た目を実現できます。

ただし、リフォーム等の施工業者による造作で配管を隠すのはおすすめできません。TOTOやLIXILの設備としての隠蔽とは異なり、壁や床を造作することで配管を隠すと、配管トラブルが生じたときに修理しづらくなるからです。修理費用が高額になる恐れもあります。

トイレの配管の共鳴現象とは何ですか

トイレの配管の共鳴現象は、トイレを使用したときの水流や水圧・空気圧の変化で、配管が振動して鳴る現象です。ブーン、ゴー、カンカンなど振動ごとに特定の音が鳴ります。

物にはそれぞれ固有の振動数があり、外部から加えられた振動数と合致したときに振幅(しんぷく)が大きくなって音が鳴ります。

水を流したときに少なからず音は鳴りますが、音の質が変化したり音が大きくなったときは注意しましょう。配管の破損や劣化などによって振動数が変わり、共鳴が起きやすくなっていると考えられます。水道修理業者等に点検を依頼するのがおすすめです。

トイレの配管掃除はどうするべきですか

トイレを清掃するときに、週に1度程度は次の清掃方法を試してみることをおすすめします。

  • ぬるま湯を流す
  • トイレ用ハイターを使う
  • 設置型の泡洗剤を流す

ぬるま湯は常温の水よりも汚物やトイレットペーパーを溶かしやすいので、水が冷たい季節は45~60度程度のぬるま湯を流すのがおすすめです。ただし、ネットはNGなので気を付けましょう。熱湯では配管内の気圧が大きく変化し、破損させる恐れがあります。

トイレ用のハイターはアルカリ性で、トイレットペーパーや汚物を溶かす効果があります。ドラッグストアやスーパーなどで購入できます。

ブルーレットやトイレスタンプなどに代表されるような、泡を生じさせる設置型の洗浄剤もおすすめです。汚れを浮かしやすいため、汚物による詰まりが起こりにくくなります。

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露出配管とは何ですか?

露出配管はインダストリアルな内装を好む人に人気の配管構造です。壁内・床下内に配管を収納せず、あえて見せることで無骨なテイストを楽しめるようになっています。また、配管を隠すための壁や床が必要ないため、広い空間を確保しやすいこともメリットです。

ただし、露出している分だけ音や振動が室内に伝わりやすく、生活で生じる油分(調理時の煙など)や湿気、温度変化などで配管が傷みやすいというデメリットがあります。こうしたデメリットから、建売住宅ではあまり採用されていません。

トイレの配管構造を知っておこう

トイレの配管には排水と給水の2種類の配管があることがわかりました。

排水管は汚水が生じる各所に分岐しており、排水桝を通して公共の下水道につながっています。雨量が多い日などは外の影響を受けやすいので、流す物の量には注意しましょう。大量のトイレットペーパーを使う清掃は、大雨から数日後をおすすめします。

給水管は家の各所から水道メーターを通して公共の配水管につながっています。水の勢いが低下したり水漏れが生じたりしているときは、給水管や止水栓の劣化に要注意です。

配管構造やトラブルが発生しやすい場所・要因を知っておくことで、自分で対処できる範疇か水回りの修理業者に依頼すべきかが判断しやすくなります。ぜひこの機会に、構造を含めて覚えておきましょう。

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