「トイレの水が流れにくくなった」「水を流すとゴボゴボと音がする」などの症状は、トイレが詰まりかけているサインかもしれません。詰まりは放置すると悪化する可能性があります。たとえ少しずつ水が流れているような場合でも「まだ大丈夫」「いずれ自然に直る」とは思わず、できる限り早急に対応した方が良いでしょう。
本記事では、トイレ詰まりの兆候や症状、自分でできる直し方を解説します。トイレ詰まりの原因や予防策も解説しますので、参考にしてください。


トイレ詰まりはなぜ起きる?発生メカニズムと症状
まずはトイレ詰まりが起きる主な原因やそのメカニズムを解説します。
トイレ詰まりが起きる理由1|トイレの構造の問題
便器や排水管の構造上、どうしてもトイレには詰まりのリスクがあります。
便器には、悪臭や害虫の侵入を防ぐために「封水」と呼ばれる水が溜まっています。封水を作るため、便器内部には「せき」とよばれる構造が設けられています。高低差があり水の流れが減速するように作られていることから、「せき」の部分は詰まりが発生しやすいポイントです。

また、排水管がL字やS字に配置されている場合も要注意です。曲がっている部分にはトイレットペーパーや異物が引っかかったり、汚れが溜まりやすかったりします。
このように、便器や排水管の構造がトイレ詰まりの1つの原因です。

トイレ詰まりが起きる理由2|使用方法の問題
便器や排水管の構造的な要因に加え、日常の使い方が詰まりを招くケースも多くあります。
たとえば、次のような使い方はトイレ詰まりのリスクが高いといえます。
- トイレットペーパーや流せるシートを一度に大量流す
- 「JIS P 4501」規格外のトイレットペーパーを使用している
- 過度な節水対策をしている
- 掃除が不十分
トイレに流して良いペーパーやシートも、一度に大量に流すような使い方は想定されていません。量が多いと溶け残る可能性があるため、複数回に分けて流すなどの工夫が必要です。
また、量に関わらず常に「小」で流している場合や、タンクにペットボトルを入れるなど過度な節水を行っている場合も注意が必要です。流す水が少ないと、紙や汚物を流しきれなくなります。
トイレは長年使用すると、便器や排水管に尿石や汚れが付着しやすくなります。放置すると固着した汚れが排水路を狭め、少しのペーパーでも詰まりやすくなります。掃除が不十分な場合も、詰まりのリスクが高いといえるでしょう。
トイレ詰まりの兆候・症状

次のような症状がある場合、トイレが詰まりかけている可能性があります。
- 封水が少ない
- 水の流れが弱い・悪い
- 水を流すと「ゴボゴボ」という異音がする
- 流した後に水位が上がってくる
封水が減っていたり、水流が弱くなっていたりする場合は、すでに排水路の一部が狭まっている可能性があります。
流した直後に便器内の水位が上がってくる場合は、詰まりの緊急度が高いと考えられます。このような場合は放置すると、逆流や水のあふれにつながるため、早急な対処が必要です。
自分でトイレ詰まりを解消する方法

トイレ詰まりの原因がトイレットペーパーや流せるシートにあるなど、軽度の詰まりであれば自分での対処も可能です。自分で試せる解消方法を紹介します。
なお、作業を始める前に、必ず止水栓を閉めてください。トイレへの給水を止めることができます。また安全のために、ウォシュレット※の電源プラグも抜いておきましょう。
※TOTOの登録商標
ラバーカップ(スッポン)を使う
トイレットペーパーなどの軽い詰まりには、ラバーカップが効果的です。使い方は次のとおりです。
- 排水口にカップ部分を密着させる
- 上下に10回ほど動かす
- 勢いをつけて引き上げる
- 水を流す
ラバーカップにはさまざまな形状のものがあります。トイレによって適した形状が異なるため、トイレの仕様書などで合うタイプを確認し用意しておきましょう。
バケツで水を流す
軽い詰まりであれば、バケツで一気に水を流す方法で解消できます。ポイントは、できる限り高い位置から排水口目掛けて注ぐことです。勢いをつけることで、詰まりを押し流します。
ぬるま湯を流す
トイレットペーパーや流せるシートなど、水溶性の異物の詰まりには、お湯も効果的です。常温の水よりもペーパー類がほぐれやすくなります。
- バケツに40〜50度のお湯を用意する
- 便器に注ぐ
- 30分〜1時間程放置する
- 水を流す
お湯は必ずぬるま湯を使用してください。熱湯は便器や排水管を破損させる恐れがあります。
重曹と酢を使う
重曹と酢を混ぜると炭酸ガスが発生します。発泡により水溶性の異物をほぐす効果が期待できるため、重曹と酢がある場合は試してみるのも良いでしょう。
- 重曹を便器に入れる(4分の1カップ程)
- お酢を便器に入れる(2分の1カップ程)
- 炭酸ガスが発泡するまで待つ
- ぬるま湯を注ぐ
- 1時間程放置する
- 水を流す
必ず重曹を入れてから酢を入れてください。順番を間違えると十分に発泡せず効果も薄れてしまいます。
なお、炭酸ガスは二酸化炭素です。作業時は必ず十分な換気を行うよう気をつけましょう。

市販のトイレ用溶剤を使う
尿石が原因の場合は、専用の溶剤を使用するのがおすすめです。軽度の尿石であれば、溶剤を入れ1時間ほど放置すれば取り除けます。
ただし、頑固な尿石や排水管の奥に固着した尿石は、自分では取ることができません。このような場合は、水道修理や水のトラブルの専門業者に相談した方が良いでしょう。


改善されないトイレ詰まりは業者に依頼を

トイレ詰まりを無理に対処しようとすると、余計に被害が広がる可能性があります。詰まりの原因を奥へ押し込んでしまい、便器や配管を破損させる恐れもあるため、次のような場合は、業者に相談する方が安心です。
- トイレ詰まりが改善されない
- 便器の水位が上がってくる
- おもちゃや文具などの異物が原因
- 原因がわからない
特に異物が原因で詰まっている場合や、原因が特定できない場合は、専門的な知識や道具、技術が必要です。無理をせず業者への依頼を検討してみましょう。


トイレ詰まりについてのQ&A

トイレ詰まりについて、よくある疑問を紹介します。
まとめ
トイレ詰まりはトイレや排水管の構造上の理由に加え、使用方法が要因となり発生します。トイレットペーパーの詰まりなど、軽度の詰まりであればラバーカップ(スッポン)やお湯で改善される可能性があります。
自分で対処しても改善されない場合や原因が特定できない場合は、無理をせず業者に相談するのがおすすめです。
トイレ詰まりの再発を防ぐには、「JIS P 4501」に適合したトイレットペーパーを使う、定期的に掃除を行うなど日頃から意識することもポイントです。日頃の使い方も見直して快適なトイレ環境を維持していきましょう。

