キッチンは多種多様な汚れが生じる場所です。代表的なものだけでも、油・水垢・カビ・食品カス等の汚れが挙げられ、それぞれ汚れの性質が異なります。綺麗な状態を長続きさせるためには、汚れに合わせた掃除方法を知っておくことが大切です。
そこで本記事では、シンク・排水口・コンロ・調理台(天板)に分けて、それぞれの汚れの性質と効果的な洗剤、掃除方法を詳しく解説します。さらに詳しい解説記事へのリンクも掲載しているので、ぜひ参考にしてください。


シンク

キッチンシンクの汚れの性質と効果的な洗剤、掃除方法を解説します。
シンクの汚れの性質と適した洗剤
汚れの種類 | 汚れの性質 | 効果的な洗剤 |
---|---|---|
水垢 | アルカリ性 | クエン酸 |
石鹸カス | アルカリ性 | クエン酸 |
カビ | 生物 | 塩素系漂白剤 (強アルカリ性) 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性)酸素系漂白剤 |
サビ(赤錆) | アルカリ性 | クエン酸 |
水垢・石鹸カス・サビはアルカリ性の性質を持つため、酸性の洗剤が効果的です 。酸がアルカリ性の汚れを中和することで、水に溶けやすくなります。食品や飲料水を取り扱う場所であるため、レモンやお酢にも含まれるクエン酸を使うのがおすすめです。
一方、カビは雑菌が繁殖した汚れなので、生物のタンパク質を破壊できるアルカリ性洗剤が適しています。同じくアルカリ性の重曹も有用です。酸素系漂白剤はアルカリ性がNGのシンクの場合に使用しましょう。
シンク掃除に必要なもの
- 各種洗剤
- スポンジ
- キッチンペーパー
- ラップ
- クロス(布)
- メラミンスポンジ
各種洗剤に加え、汚れをこすり落とすためのスポンジ、拭き上げ掃除のためのクロス(布)、そして頑固な汚れに有効なメラミンスポンジがあると便利です。キッチンペーパーは拭き上げ掃除の他、汚れが強い場所に洗剤をつけ置くための紙としても使えます。
シンクの素材によってはNGのものもある
ステンレス製や人工大理石など、シンクの素材によって使用できる洗剤や掃除方法が異なります。
例えば、ステンレス製のシンクで塩素系漂白剤を長時間つけ置きすると、サビやシミの原因になることがあります。また、重曹やクレンザー、メラミンスポンジによる研磨は繊細な力加減が必要です。細かな傷がつくと、汚れが入り込みやすくなります。
人工大理石の場合は、酸性洗剤・強アルカリ性洗剤をNGとしているケースがあるため注意が必要です。ザラつきや色素沈着を引き起こす可能性があります。キッチンの取り扱い説明書を読み、使用可能な洗剤を確認しておきましょう。
シンクの掃除方法
- クエン酸を全体にスプレーする
- 5~10分放置
- 水拭きまたは水で流す
- カビ汚れアルカリ性洗剤で掃除
- 水拭きまたは水で流す
- 乾いた布で拭き上げる
まずクエン酸スプレーを全体に吹きかけます 。水垢や石鹸カスといったアルカリ性の汚れにクエン酸が浸透するよう、5〜10分程度放置してください 。その後、水拭きするか、水で洗い流しましょう 。
汚れがひどい部分には、キッチンペーパーにクエン酸を染み込ませ、貼り付けるのが効果的です。上からラップをすると、クエン酸の蒸発やキッチンペーパーの剥がれ落ちを防止できます。
カビ汚れがある場所は、アルカリ性洗剤または酸素系漂白剤で掃除しましょう。ポイントは、クエン酸をしっかり流してからアルカリ性洗剤を使用することです。その後は水で流し、乾いた布で拭き上げたら完了です。
シンク掃除のポイントやクエン酸を使った掃除方法については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。


排水口

キッチンの排水口の汚れの性質と効果的な洗剤、掃除方法を解説します。
排水口の汚れの性質と効果的な洗剤
汚れの種類 | 汚れの性質 | 効果的な洗剤 |
---|---|---|
ぬめり | 生物・酸性 | 塩素系漂白剤 (強アルカリ性) 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性) 酸素系漂白剤 |
カビ | 生物 | 塩素系漂白剤 (強アルカリ性) 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性) 酸素系漂白剤 |
油汚れ | 酸性 | 塩素系漂白剤 (強アルカリ性) 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性) 酸素系漂白剤 |
排水口の汚れは生物または酸性の汚れなので、アルカリ性洗剤や酸素系漂白剤が有用です。
排水口掃除に必要なもの
- 各種洗剤
- スポンジ
- ブラシ
- ゴム手袋
汚れをこすり落とすためのスポンジやブラシは、細かな部分まで掃除するのに役立ちます。ゴム手袋は汚れや洗剤から手を保護するために、着用するのがおすすめです。とくに汚れが強いときは、触ることへの抵抗感を減らせます。
排水口の掃除方法
- ゴミ受けの食品カスを捨てる
- アルカリ性洗剤をかける
- ブラシでこすり洗いする
- 水で洗い流せば完了
アルカリ性の洗剤を使用することで、油汚れの酸性は中和され、生物汚れは破壊されるため落としやすくなります。なお、ステンレス製の排水口のは強アルカリ性の放置がサビにつながるため、弱アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダがおすすめです。
重曹を使った掃除方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。具体的なやり方や注意点も紹介していますので、ぜひあわせてご活用ください。

コンロ

コンロの汚れの性質と効果的な洗剤、掃除方法を解説します。
コンロの汚れの性質と効果的な洗剤
汚れの種類 | 汚れの性質 | 効果的な洗剤 |
---|---|---|
油汚れ | 中性・酸性 | 界面活性剤 (中性洗剤) 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性) 強アルカリ性洗剤 |
コゲ | 酸性 | 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性) 重曹+クエン酸 |
サビ | アルカリ性 | クエン酸 |
油汚れは酸性であるため、アルカリ性の重曹が効くという説がありますが、実際のところは何ともいえません。たしかに、調理で油が酸化・加水分解すると酸価が高くなりますが、油汚れのすべてが酸性とは言い切れないからです。
とくに、油がホコリを吸着した汚れは、弱アルカリ性洗剤を使用することで、落ちにくくなることもあります。
単に付着した油の場合は、水に溶けないことが落としにくい理由なので、水と油をつなげる界面活性剤(中性洗剤)を使用します。それでも落ちない場合は、強アルカリ性洗剤で分解(鹸化)しましょう。
コンロ掃除に必要なもの
- 各種洗剤
- ポリ袋(ゴミ袋)
- スポンジ
- ブラシ
- お湯(40~70℃)
- 乾いたクロス
コンロのパーツの汚れには浸け置き洗いが有用です。ポリ袋を使用すれば少ない水と洗剤の量でもつけ置き洗いをしやすくなります。詳しくは次の掃除方法をご覧ください。
コンロの掃除方法
- ごとくやグリルのパーツを取り外す
- 1のパーツをポリ袋に入れる
- 2に40~70℃のお湯を入れて満たす
- 3の中に洗剤を溶かす
- 4の口を縛って1時間ほど放置
- コンロの天板を中性洗剤とスポンジで洗う
- 6の洗剤をクロスで拭き取る
- 5でつけ置きしたパーツをブラシで洗う
- 水で洗い流してパーツを乾かす
- 乾いたパーツを元に戻せば完了
コンロのパーツ汚れは頑固なものが多いため、1時間ほどつけ置きしてからブラシで掃除しましょう。油汚れが落ちやすいお湯を使うこともポイントです。つけ置きを待っている間にコンロの天板や他の部分の掃除を進めると、時間を有効活用できます。
なお、頑固なコゲつきには、重曹とクエン酸を混ぜたときに発生する発泡パワーで剥がしとる方法も有用です。酸性とアルカリ性を混ぜると有毒ガスが発生するため注意が必要ですが、弱アルカリ性の重曹であれば比較的安全に作業できます。換気はおこないましょう。
コンロ周りのお手入れでは換気扇の掃除も忘れられません。換気扇汚れは放置すると、換気効率の低下や火災につながる可能性など安全面でのリスクもあります。定期的な掃除を心がけましょう。
換気扇の掃除方法について、詳しくはこちらの記事で解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

調理台(天板)
調理台(天板)の汚れの性質と効果的な洗剤
汚れの種類 | 汚れの性質 | 効果的な洗剤 |
---|---|---|
食品カス | 中性 | 中性洗剤 |
水垢 | アルカリ性 | クエン酸 |
油汚れ | 酸性 | 中性洗剤塩素系漂白剤 (強アルカリ性) 重曹 (弱アルカリ性) セスキ炭酸ソーダ (弱アルカリ性) |
調理台にはさまざまな汚れがあるため、効果的な洗剤の種類も多様です。ただし、軽微な汚れであれば中性洗剤だけでも足りることが少なくありません。
調理台(天板)掃除に必要なもの
- 各種洗剤
- スポンジ
- クロス
- キッチンペーパー
- ラップ
キッチンの構造にもよりますが、洗剤が浸透するような壁面と接していなければ、洗剤とスポンジで丸洗いする方法が有用です。クロスは最後の水拭きと拭き上げに使用します。
調理台(天板)の掃除方法
- 頑固な汚れに適した洗剤を用意する
- キッチンペーパーに1を染み込ませる
- 頑固な汚れに貼り付けて5~10分放置
- 水拭きする
- スポンジに中性洗剤を染み込ませる
- 天板を円を描くように丸洗いする
- 水拭きする
- 乾いた布で拭き上げれば完了
水垢や油汚れなどのピンポイント汚れがあるときは、効果的な洗剤を使用して落としておきましょう。その後、中性洗剤で調理台を丸洗いし、水拭きと乾拭きで仕上げれば完了です。
キッチン掃除を効率的に進める手順

キッチン掃除は大がかりな作業になることが多いため、効率の良い手順を知っておくと時間と体力のムダを省けます。
- コンロのパーツのつけ置きを開始
- コンロの天板を掃除
- 調理台を掃除
- 1のパーツを洗って乾かす
- シンクを掃除
- 排水口を掃除
- 4で乾いたパーツを戻す
放置時間の長いコンロのパーツから着手することで、時間を有効に使えます。その後、調理台の掃除をおこない、最後にシンクと排水口を掃除すれば、コンロや調理台掃除で発生した汚水を含めて一掃できます。
自分で掃除しても改善しない水まわりトラブルはプロに相談

日々の掃除を心がけていても、どうしても解決できない水まわりのトラブルは起こり得ます。
- 排水口の悪臭が消えない
- 水の流れが明らかに悪くなった
- シンク下の配管から水漏れしている
手の届かない排水管の奥に汚れが溜まっている、または配管自体に不具合がある場合、自力で解決するのは困難です。無理に自分で解決しようとすると、かえって状態を悪化させてしまう恐れがあります。
このような場合は、水まわり修理業者に相談することをおすすめします。プロは専用の道具や薬剤を使い、排水管の奥の頑固な詰まりや見えない場所からの水漏れなどを根本から解決してくれます。


まとめ
キッチンの掃除は、それぞれの場所の汚れの性質を理解し、適切な洗剤と方法を選ぶことが大切です。毎日少しずつ行うことで、頑固な汚れの蓄積を防ぎ、いつでも清潔で快適なキッチンを保てます。
ただし、手の届かない排水管の奥の詰まりや水漏れなど、自力では解決が難しいトラブルに直面した際は、プロの修理業者に相談し、安全かつ確実に解決してもらいましょう。

